ここだけの話、今回はこんな話です
みんなのねんきん社会保険労務士法人はうつ病などの精神疾患に悩む方の障害年金手続きの相談を多数受けています。
「私の症状で障害年金が受け取れますか?」
このようなご相談が非常に多いです。
弊社では、症状等を詳しく聞いてカウンセリングを実施し、その可能性があれば、障害年金の申請手続きを行うべきことを伝えます。
その際、まずは、自身で行う障害年金の申請手続きの方法・手順について説明します。
ご自身での手続きが難しいとご本人が判断した場合に限り、弊社での手続代行を勧めるというスタンスです。
という方もいらっしゃると思います。
そこで、数回にわけて、自身で手続きを行いたい方に向けて、障害年金の申請手続きの方法・手順について、その注意点・専門家に任せるメリットを詳しく説明していきます。
第3回は障害状態を証明する書類(診断書)の取得方法について、まとめました。
第2回はこちらです。
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自身で手続きするための障害年金講座 第2回 初めて医者に掛かった時の証明書を手に入れる
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第1回はこちらです。
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自身で手続きするための障害年金講座 第1回 申請書類入手で気をつけることは?
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ここだけの話、今回は診断書の取得についてです
障害年金請求キットの中身を再度確認すると・・
自身で手続きするための障害年金講座 第1回は、障害年金の申請手続きで必要な書類の入手方法についてまとめました。
その結論として、「障害年金請求キット」を手に入れることが必要なわけです。
今回も第2回に引き続き、申請手続きで必要な書類について、医療機関で作成をお願いするものにフォーカスを当ててみましょう。
再度「障害年金請求キット」を見てみると・・・
- 障害年金ガイド
- 障害年金の請求にあたっての注意事項
- 病歴・就労状況等申立書
- 障害年金請求書(障害基礎・障害厚生)
- 障害年金の請求手続きのご案内(障害基礎・障害厚生)
- 受診状況等証明書
- 受診状況等証明書を添付できない申立書
- 障害年金の初診日に関する調査票
- その他(特別な事情があるときに提出する)
- 診断書(障害に応じて8種類)
この中で、医療機関に作成を依頼する書類は、6受診状況等証明書 と 10診断書 になります。
今回は、診断書の取得について解説します。
診断書の役割は?
何度も繰り返しになりますが、大事なところなのでもう一度。
障害年金は、初診日要件、保険料納付要件、障害認定日(障害状態)要件の3つの要件をすべて満たしていると、受け取れます。
障害年金受け取りのための3要件
- 初診日要件:障害の原因となった傷病について初めて医者に掛かった日(初診日)に国民年金または厚生年金保険に加入していること
- 保険料納付要件:初診日の前日時点で、年金保険料の未納が少ないこと
- 障害認定日要件:障害認定日(初診日から1年6カ月経った日)に法律で定められた障害状態であること
3要件のうち、障害認定日要件 を確認するためには、障害の状態を証明する必要があります。
前回説明した受診状況等証明書は、主に初診日を証明することが目的でしたが、今回説明する診断書は、3つ目の要件=障害認定日要件を証明するためのものなのです。
「診断書なら既にあります」という誤解
弊社への障害年金の相談で、
という場合があります。詳しく聞くと、会社へ提出するものだったり、障害者手帳を取得するためのものだったりします。
しかし、医師が任意の様式で作成した診断書は使えません。
障害年金の請求に必要な診断書は日本年金機構の様式のものでなければいけません。
また、
日本年金機構が用意している診断書の様式は障害の状態に応じて、異なることにも注意が必要です。
- 眼の障害用
- 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用
- 肢体の障害用
- 精神の障害用
- 呼吸器疾患の障害用
- 循環器疾患の障害用
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
- 血液・造血器・その他の障害用
このように全部で8種類もありますから、間違えないよう、医師にお願いしないといけません。
参考までに日本年金機構の以下のサイトでダウンロードができます。
-
障害年金の請求手続き等に使用する診断書・関連書類|日本年金機構
続きを見る
複数の診断書が必要な場合とは
診断書は1枚で良いとは限りません。
障害年金を請求する方法により複数枚必要になることもあります。
ここで、診断書の枚数を確定するにあたり、障害年金の2つの請求方法を確認します。
2つの年金請求方法
最も多い請求方法は「事後重症請求」です。
これは文字通り、「あとになって病状が重たくなったので今、請求します」という方法です。
年金事務所で受付してもらった日に障害年金の権利が生じ、受付日の翌月分以降の年金を2ヶ月に1回、将来に向かって受け取れるというものです。
過去に遡って支給される分はありません。
実際にあとから重症化したというケースはもちろんですが、原則の「障害認定日(初めて医師に診断された日から1年6カ月経った日)」の診断書が昔のことで入手できないので、やむなく事後重症請求を選択するケースもよくあります。
もう一方の請求方法が「認定日請求」というもの。
これは文字通り、「障害認定日(初めて医師に診断された日から1年6カ月経った日)」の症状を証明する診断書を用意して請求する方法です。
例えば、数年前の障害認定日に対して、認定日請求をすると、その障害認定日付で障害年金の権利が生じます。
年金は権利が生じた日まで遡って支給されるので、認定日請求によってまとまった金額が振り込まれます。
(事後重症請求は年金事務所で受付してもらった日に権利が生じるので、過去に遡らないのです)
そしてもちろん、手続き後も2カ月に1回の年金が将来に向かって受け取れることは事後重症請求と同じです。
時効の関係で最長5年分のみとなりますが、弊社で手掛けた案件でも数百万円になったケースが複数あります(以下のリンクで確認してください)。
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これまでの障害年金手続き代行実績のうち決定金額200万円以上の方をご紹介 | みんなのねんきん社労士法人
2020年4月の事業開始からの弊社の実績をご紹介します。毎月毎月全国の方の年金決定を支援していまます。多くの場合は障害等級2級、年額で約80万円が平均的です。家族手当が付くと100万円以上の金額になる ...
続きを見る
多くの方から認定日請求について相談を受けますが、過去の症状を証明する診断書を手に入れることが困難なのでハードルが高いというのが現状です。
診断書が1枚でOKのケース
2つの請求方法がわかったところで、つぎに診断書の枚数について解説しましょう。
まず、診断書1枚でOKの典型例は「事後重症請求」です。
請求する日以前3カ月以内の診断書、1枚が必要です。
ここでよくある誤解として、
というもの。
診断書の”作成日が3カ月以内”ではありません。
「現症年月日」といって、その症状が確かに存在していた日 が請求するときから3カ月以内の日付になっていなければならないということです。
例えば、2022年12月15日に請求する場合、同年10月15日以降の”現症年月日”が記載された診断書を1枚提出することとなります。
つぎに、
診断書1枚で良いケースとして、障害認定日(初めて医師に診断された日から1年6カ月経った日)が、請求するときから1年以内にあるケース。
例えば、
- 2021年4月15日に初めて医師に診断された
- 2022年10月15日が障害認定日
- 2022年12月中に認定日請求を行う
という場合、10月15日から3カ月以内(2022年12月15日まで)の”現症年月日”が記載された診断書を1枚提出することとなります。
診断書が2枚必要なケース
診断書が2枚必要なケースはこんなケース
- 2015年4月15日に初めて医師に診断された
- 2016年10月15日が障害認定日
- 2022年12月15日に認定日請求を行う
この場合は、
- 2016年10月15日以後3カ月(同年12月15日)以内の”現症年月日”が記載された診断書を1枚
- 2022年12月15日以前3カ月(同年10月15日)以内の”現症年月日”が記載された診断書を1枚
合わせて2枚必要になります。
結論として、障害認定日が1年以上経過してから認定日請求を行う場合は2枚必要なのです。
多くの障害年金の申請は、直近の現症年月日の記載がある診断書が1枚で済む事後重症請求のケースがほとんどです。
そして診断書が複数必要な場合は、リスクを覚悟しなければいけません。
- 作成を依頼する医療機関を間違えた場合に費用が無駄になるリスク
- それぞれの診断書の内容が矛盾しているかもしれないというリスク
- 情報提供の不足により診断書の内容が障害状態に達していないというリスク
これらのリスクに直面した際、知識の無い一般の人がその壁を乗り越えるのは非常に難しいと言わざるをえません。
依頼方法はどうする?
大きな病院では、証明書類などの作成担当部署(文書受付)に依頼します。
文書受付がない医療機関では、受付窓口に診断書の用紙を預けることが多いです。
ただし、文書受付や窓口に依頼する前に、医師に「障害年金申請用の診断書を依頼したい」旨を話しておくことを勧めます。
忙しい医師に作成してもらうわけですから、事前に話を通しておくべき。
そうしないと、話がスムーズに進まないでしょう。
診断書作成にまつわる弊社への相談あれこれ
診断書作成にまつわる弊社の相談事例をご紹介しましょう。
医師には診断書作成義務があります。このように法律の規定があります。
医師は、診断書等の交付の求があった場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
(医師法19条2項)
医師は、自ら診察しないで診断書を交付してはならない。
(同法20条)
したがって、法律の規定からすれば、診断書作成の依頼をすれば、そのまま作成してもらえるはずなのですが、実際は簡単にはいかないことも多いようです。
障害年金の請求を考えていると医師に伝えた場合、どのような反応をするのか、そもそもどのように話したらいいのか悩まれるようです。
認定日請求で過去に遡って障害年金を請求する場合、診断書を依頼する医療機関が現在と異なっていることもあります。
そのような場合、依頼が難しいという悩みもよく伺います。
「診断書の内容に問題がないか」の判断は、専門的な知識が必要です。
障害年金が受け取れるかどうかは、その診断書の内容が厚生労働省が定める「障害認定基準」に合致しているかどうかが問題です。
障害認定基準にはさまざまな障害状態、その状態に合った障害等級が定められています。
この認定基準に当てはまる診断書の記載になっているかどうかがポイントですが、その判断は知識の無い方には難しいでしょう。
自分で手続きしてダメだったという場合は診断書の内容に問題があったのかもしれません。
参考までに日本年金機構の以下のサイトで障害認定基準を確認できます。
-
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構
続きを見る
こういった場合、医師に訂正依頼をすることが必要になります。
ですが、ご自身での依頼は、なかなかハードルが高いようです。
診断書を依頼する時には、文書作成料にも注意が必要です。
一般的には5千円~1万円程度が相場ですが、中には5万円以上としている医療機関もあります。
費用は医療機関により異なるので事前に確認しておきましょう。
ここだけの話、みんなのねんきんに代行を依頼するメリットとは
診断書の作成を医師に依頼することが難しい場合、みんなのねんきんに手続き代行を依頼するメリットをご紹介します。
メリット1
医師への依頼方法を適切にアドバイス
診断書の作成依頼について、法律で「拒んではならない」ことは当然医師もわかっています。
問題は障害年金の必要性をどうわかってもらうか、医師への伝え方が重要なのです。
みんなのねんきんでは請求者の状況や医師との関係性に配慮しながら、依頼時に話す内容を考えるなど適切なアドバイスをいたしますのでご安心ください。
メリット2
弊社からも医師への情報提供
障害認定基準に合致した診断書を作成してもらうためには、医師に対して、適切な情報提供できるかどうかがポイントです。
ご自身で医師から説明することはもちろんですが、それだけでは不十分。
請求する障害状態によって、使用する診断書の種類、作成時の注意事項もお知らせしないといけません。
医師が把握しづらい、障害による普段の日常生活への影響なども伝える必要があります。
ご自身からの情報提供に自信がなくてもご安心ください。
あなたに代わってみんなのねんきんが情報を整理・弊社からも適切に症状をお伝えします。
個人個人に合わせたオーダーメイドでオリジナルの参考資料を作成していますから医師への説得力も大きく違います。
メリット3
面倒なことは一切おまかせ
その他、診断書入手の手続きに必要な面倒なことは一切お任せください。
- 医療機関との交渉
- 複数の診断書を取得する場合の現症年月日への配慮、相互の内容に矛盾が無いかの検証
- できあがった診断書の記入漏れ・事実との相違の検証、不備があったときの追記・訂正依頼
これらはみんなのねんきんが代理で行います。
ここまで書いてきて、
障害年金の受取りを左右するのは診断書であると断言できます。
弊社ホームぺージでも、「ポイントは医師の診断書です!」とあえて強調しました。
そのため、診断書に関しては、依頼する前から取得後まで、注意する点がたくさんあります。
これらの注意点を無視して、知識が無い方がご自身で手続されてもうまくいかないでしょう。
本来受け取れるものが受け取れなくなってしまうのは非常にもったいないことです。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、自身で障害年金手続きを行う場合について、第3回は障害状態を証明する書類(診断書)についてまとめました。
ポイントは以下のとおり。
- 障害に応じて8種類もある年金機構仕様の診断書
- 必要な診断書は1枚とは限らない
- 事後重症請求と認定日請求の2つの請求方式
- 適切な診断書を入手できるかどうか、医師への情報提供が重要
今回のコラムで、障害年金を左右するのは診断書がポイントであることがおわかりいただけたかと思います。
実は診断書は障害年金の受取りを開始したあとも必要になります。
障害状態によって、数年間隔で更新の手続きが必要になりますが、そこでも診断書を依頼することになります。
診断書の取得で最初に苦労すると、更新の時も苦労することになりかねません。
障害年金の申請時だけでなく、その後のことも考えることが必要です。
手続き代行を専門家に依頼する場合は、医師と患者の関係性に配慮して進めてもらえるかを確認してください。
みんなのねんきんが最も重要視しているのはこの点です。
さて、
次回は、申請までに必要な他の書類や障害年金請求書、病歴・就労状況等申立書について解説したいと思います。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表