ここだけの話、今回はこんなお話です
うつ病で悩むAさんの障害年金手続きを代行し、あとは年金の決定がされるのを待っていたある日。
Aさんからこんな連絡が来ました。
え?これじゃ初回の年金が振り込まれないぞ!
ってそもそも凍結されるってどういうこと?
今回は弊社が経験した、障害年金代行手続きに関する奇妙な事件の顛末をお伝えいたします。
ここだけの話、こんな事例でした
年金の受け取りは金融機関の口座振込が原則
障害年金に限らず、老齢年金も遺族年金も、年金は金融機関への振込で受け取ることが原則となっています。
ここで、金融機関の口座がない場合はどうすればいいのでしょうか?
今回弊社が遭遇した事例は、金融機関の口座が凍結されてしまったケースなので同じ疑問が生じます。
新しく口座を開設すればいいじゃないと思うかもしれません。
が、様々な事情でそうはいかない場合もあるわけで・・。
今回の事例、
対処方法はのちほど説明するとしまして、そもそもまず、口座凍結に至った背景を説明させてください。
今のご時世、あなたも同じ経験をするかもしれませんよ。
そうならないためにも、今回の事例を参考にしていただければと思います。
なぜ、口座が凍結されてしまったのか?
口座凍結されると、現金を引き出すことはもちろん、口座からの引き落としや振込なども一切できなくなります。
Aさんに一体何が起きたのでしょうか?
実は、詐欺行為に関与してしまったとのこと。
どういうことかというと・・・、
という連絡があり、Aさんは銀行カードの口座情報を教えてしまったことから始まりました。
Aさんはうつ病で不安感が強くなっています。
仕事ができず経済的にも不安がありました。
そのため、「融資」の言葉を信じ、口座情報を教えてしまったのです。
その後、Aさんの口座は、最悪なことに、振り込め詐欺の受け取り口座に使用されてしまいました。
Aさんの口座は犯罪での不正使用となり、結果、凍結となったのです。
それだけではありません。
一連の犯罪において、Aさんは振り込め詐欺の受取口座を提供したとして、容疑者の立場になってしまったのです。
ご自身名義の口座に詐欺グループが集めたお金が入金・引き出しされてしまったわけですから、容疑者とされるのも当然です。
こうなると、凍結された金融機関の口座だけにとどまりません。
金融機関が共有するブラックリストにAさんの名前が載ってしまい、他の金融機関の口座も全て凍結されてしまいます。
振り込め詐欺のような特殊詐欺が増加しているため、警察と金融機関は凍結口座名義人リストを共有しています。
詐欺をする犯罪者の新規口座開設の阻止のためです。
そして、
凍結口座名義人リストは、警察庁が管理しているとのこと。
つまり、
一旦口座凍結となってしまうと解除は相当難しいでしょう。
捜査担当の刑事にお願いして、口座凍結リストから抹消してもらわなければなりません。
捜査の進み具合や、被害の状況などが影響してきますから、そう簡単にはいかないはずです。
ここだけの話、「みんなのねんきん」はこう対応した
本人名義以外の口座では受け取れない
本人の口座がダメなら、家族の口座に振り込んでもらえばいいじゃない。
そう思うのもわかりますが、これは無理です。
障害年金に関わらず、全ての公的年金を受取る権利は一人一人に認められたものですので、年金受給者本人の名義の口座でなければいけないのです。
今回のような犯罪に巻き込まれた特殊な事例であったとしても、例外は認められません。
なにか裏技はないか・・。
あまりに普通の事態ではなく、行き詰まったようにも思えました・・。
ところが・・。
郵便局の窓口受取りで解決
実は、金融機関の口座が無い人のために、郵便局の窓口から直接現金で受け取る方法が存在します。
障害年金の申請書には、年金受取機関を記入する項目はありますが、受取方法まで記入する項目はありません。
窓口受取について明示されていないので、年金事務所に確認してみると、郵便局窓口で受け取るための手続きを教えてもらいました。
その手続きとは、以下の「年金受給者 支払機関登録(変更)届」を提出することです。
この届書の提出により、希望の郵便局から窓口で現金での受取が可能になります。
Aさんにはこの方法をお伝えし、一応の解決となりました。
メモ
郵便局での現金による受取方法は本人なりすましなどのリスクが高いため、日本年金機構としては推奨していないようです。届出を出しても審査があるため簡単にできる方法では無いことに注意してください。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、障害年金の受け取り先の金融機関口座が凍結されてしまった事例を書いてみました。
ポイントは以下のとおり。
- 年金受取に指定した口座が凍結されると年金の受取ができなくなる
- 年金受取の口座は本人名義でなければいけない
- 口座が使えない場合の裏技として郵便局窓口から直接受け取る方法がある
最近の詐欺は、被害に遭うだけでなく、今回のように容疑者とされ、口座が凍結されてしまう場合もあります。
普段当たり前のように使っている銀行口座ですが、いざ使えないとなると、その不便さは想像を絶します。
不安な社会を反映して、詐欺被害も増えているそうです。
上手い言葉にはしっかり気を付けなくていけません。
精神疾患の方は、症状により不安感が大きくなっています。
思考力が低下してしまうこともあり、適切な判断ができない場合もあります。
障害をお持ちの方が詐欺被害に遭われるケースは少なく無いそうです。
症状に乗じて行う詐欺行為には怒りを感じます。
ご家族に年金受給者がいらしたら、注意してあげてください。
特殊詐欺は思った以上に身近に存在しているからです。
読者のみなさんも今回の事例を参考にしていただければと思います。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表