どこが一元化?こんなに違う共済組合への障害年金申請体験記

【みんなのねんきん】岡田社労士

岡田真樹

みんなのねんきん社労士法人代表

ここだけの話、今回はこんな話です

みんなのねんきんでは公務員の方の障害年金に関する相談も受付しています。

新規の年金手続き代行はもちろん、審査結果に不服があり、不服申立てをする案件も扱ったことがあります。

民間サラリーマンや自営業者が申請する場合は日本年金機構(年金事務所)に行いますが、公務員の方の場合は様々な点で年金実務が異なります。

今回は、ある国家公務員の方の手続代行の事例を通じて、日本年金機構に対して行う手続きとどう違うのかをまとめました。

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ここだけの話、こんな症状・こんな事例です

仕事の繁忙が原因で精神科に通院したAさん。

傷病名は、「うつ病」でした。

初めてこの病名の診断を受けたのは、国家公務員として勤務していた期間中です(トップ画像の「国土交通省」ではありません)。

国家公務員の方も共済組合への加入を通じて厚生年金に入っていますから障害厚生年金の保障を受けられます。

そんなAさんがみんなのねんきんに手続代行を依頼された実際の例となります。

ここだけの話、何が問題なのか

かつては民間企業の厚生年金と公務員の共済年金は別々の仕組みでした。

同じく雇われて働く立場(被用者)ながら、年金制度(被用者年金制度)は別々だったのです。

これが、私が社労士試験の受験生時代に、法律の改正(2015年10月)で別々だった制度の一元化が行われました(被用者年金一元化)。

受験生だった私は、”ワンストップサービス”という言葉が強く印象に残っていて、

岡田社労士
制度が一緒になるから手続きも簡略化されて便利になるのか・・

ぐらいの認識だったのです。

ここで、

ワンストップサービスとは一元化後の年金申請の窓口は日本年金機構でも共済組合でもどの窓口でも受付可能というもの。

かつては公務員が障害年金を請求する場合、両方の窓口に申請することが必要だったのです。

障害厚生年金(当時は障害共済年金)と障害基礎年金の2つの年金を受け取るためです。

この点、日本年金機構のウェブサイトでも被用者年金一元化を説明するページがあります。

被用者の年金制度の一元化|日本年金機構
被用者の年金制度の一元化

続きを見る

ということは、公務員の障害年金請求もどこの窓口でも大丈夫と思うのですが・・

共済組合に加入する組合員の方が障害厚生年金を請求する場合、民間企業に勤めるサラリーマンの障害年金手続きとどう違うのかが問題となります。

ここだけの話、共済組合の障害年金申請はこんなに違う!

障害年金請求の受付窓口はどこ?

障害年金はワンストップサービス対象外

まずは、障害年金請求書の受付窓口について。

一応、日本年金機構のウェブサイトにワンストップサービスについて、「障害給付の届書等の一部の届書を除きます。」とあるのですが、これだけではよくわかりません。

答えは、障害年金の請求はワンストップサービスの対象外です。

つまり、一元化前と同様に共済組合に年金請求書を提出することになります(日本年金機構への提出は不要なので、この点ではワンストップと言えますが)。

Aさんのケースでは年金事務所の窓口に持参しても受付してもらえません。

さらには、初めて医師に診断してもらった日(初診日)に所属していた共済組合に提出する必要があるのです。

こんなにあるの?膨大な数の共済組合

さて、ここで共済組合には、どのようなものがあるのでしょうか?

厚生年金保険法によれば、その被保険者は4種類に別れています。

民間企業のサラリーマン(第1号)以外は第2号から第4号に区別されており、2号は国家公務員、3号は地方公務員となります。

民間企業は年金事務所が手続きの受付窓口になりますから、2〜4号もそれぞれ1箇所の窓口かなと思っていました。

つまり、今回のAさんは、国家公務員でしたから漠然と「国家公務員共済組合」に申請すればいいのか・・・と考えていたのですが実はそんな名称の組合はありません

下のリストを見て下さい。

衆議院共済組合 参議院共済組合 内閣共済組合
総務省共済組合 法務省共済組合 外務省共済組合
財務省共済組合 文部科学省共済組合 厚生労働省共済組合
農林水産省共済組合 経済産業省共済組合 国土交通省共済組合
裁判所共済組合 会計検査院共済組合 防衛省共済組合
刑務共済組合 厚生労働省第二共済組合 林野庁共済組合
日本郵政共済組合 国家公務員共済組合連合会職員共済組合

これら20ある各共済組合を総称して「国家公務員共済組合」と呼び、各共済組合の年金業務を共同して行うために「国家公務員共済組合連合会」が存在します。

Aさんの場合も、このリストにある、とある共済組合に対して申請手続を行いました。

ここで仮に、

Aさんが地方公務員だったとしたらどうでしょう。

国家公務員の場合と同じく、ここでも「地方公務員共済組合」という名称の共済組合はなく、各共済組合の総称となります。

なんと全国に64の共済組合が存在し、連合会は2つも存在するのです。

地方公務員共済組合連合会

(64組合)

地方職員共済組合
公立学校共済組合
警察共済組合
東京都職員共済組合
全国市町村職員共済組合連合会

(60組合)

指定都市職員共済組合(10組合) 札幌市職員共済組合 等
市町村職員共済組合(47組合) 沖縄県市町村職員共済組合 等
都市職員共済組合(3組合) 仙台市職員共済組合 等

地方公務員も同様、初診日に所属していた共済組合に障害年金の申請を行うことになります。

このように、

被用者年金制度が一元化されたといっても、従来の共済組合はそのまま存続して業務を継続しており、日本年金機構に集約されたというわけではないのです。

公務員の方の障害年金請求は、どこの窓口でも受付てもらえるというわけではありませんから注意が必要です。

請求書類に関する注意点

さて、提出すべき公務員共済の窓口が判明したので、ここからは申請書類に関する注意点を見ていきましょう。

マイナンバーの申告が義務

まずは、マイナンバー(個人番号)。

各共済組合に年金請求する場合、年金請求書へのマイナンバーの記載が義務化されました(令和5年9月29日より)。

正確には、年金請求書に「基礎年番号」と「マイナンバー(個人番号)」の両方の記載が必要です。

ちなみに、公務員以外の人が日本年金機構に障害厚生年金を請求する場合、その年金請求書には、「基礎年番号」と「マイナンバー」のどちらかを記入することになっており、両方記入することにはなっていません。

そのため、日本年金機構の提出時には必要が無い、「マイナンバー申告書」なる書類の添付が必要になるのです。

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なぜマイナンバーの申告が義務化されているのか?

これは、マイナンバーと年金情報紐づけの誤りへの対応とされています。

一時期、紐づけに誤りがあったという報道がされたことは記憶に新しいところです。

経過的職域加算額に対する書類

他にも提出が必要な書類があります。

懲戒の処分を受けたとか、禁錮以上の刑に処せられたとか、「そのような事実はありません」という書類です。

【みんなのねんきん】どこが一元化?こんなに違う共済組合への障害年金申請体験記

かつて、一元化前の障害共済年金には上乗せ額として「職域加算額」というものがありました。

一元化により、民間企業の障害厚生年金に揃えることとなったのでこの職域加算は廃止されました。

ただ、一元化前の期間(2015年9月まで)は、将来職域加算分を含めた掛金を納めていたので、一元化されたから全てリセットというわけにはいきません。

そこで、一元化前の期間に初診日がある障害厚生年金については”経過的”職域加算額として上乗せ額を支給することとなっています。

(ちなみに、この上乗せ額は「障害共済年金」として一元化前の名称で支給されます)

そしてこの職域加算ですが、懲戒処分などを受けていると支給されなかったそうなんです。

そのため、このような確認書類の提出が必要とされているのです。

年金生活者支援給付金は日本年金機構へ

障害等級1・2級に該当した場合に受け取れるのは障害年金だけではありません。

消費税が10%になった際に導入された「年金生活者支援給付金」も受け取れますから、その請求も必要です(3級は対象外です)。

こちらは共済組合ではなく、日本年金機構に申請をしないといけません。

というのも、この給付金の支払実務は共済組合ではなく、日本年金機構が単独で行っているからです。

共済組合に障害年金を申請したと同時に、日本年金機構に「年金生活者支援給付金請求書」を提出しておくことが必要です。

年金請求書提出時にほかに注意することは?

請求書類に関して、注意したことは、日本年金機構に申請するときと同じです。

請求者の初診日や障害状態であることをしっかり証明できる内容となっているか提出書類を整備していくことは同じです。

注意した点は、事前の確認を怠らず、注意して進めたことです。

該当する国家公務員共済組合には事前に電話し、提出先として間違いがないか、提出書類として何が必要かの確認を行いました。

共済組合への障害年金請求は事前にこのような確認を行うとスムーズに進むと思います。

年金決定の審査に違いはあるのか?

つぎに、障害年金の申請後の違いについて見ていきましょう。

申請書類を受付してもらったら、次は障害年金の要件を満たすかの審査が始まります。

この審査基準は日本年金機構と同じです。

ただし、審査する機関は日本年金機構ではありません。

共済組合の場合は、申請した共済組合ごとに審査が行われます。

各共済組合の担当部署で審査が行われるため、審査の進め方などに違いがあります。

共済組合によっては、カルテの添付を求められる場合もあると聞いています。

日本年金機構における審査ではそのようなことはありません。

また、日本年金機構での障害厚生年金の審査は全国で1箇所しかない障害年金センターで行われます。

そのため、提出した年金事務所によって、審査が異なるということはないのです。

え?15日以外でも受け取れる?

最後に、年金決定後の実務の違いについて触れていきましょう。

決定した障害厚生年金の支給は基本的には、申請した共済組合が行うことになります。

そして、国民年金制度から支給される「障害基礎年金」に関しては一定の例外を除き、日本年金機構から支給されます。

Aさんの場合は障害厚生年金は共済組合から、障害基礎年金は日本年金機構から別々に受け取ることとなります。

ここで、

日本年金機構から支給される年金は、原則として偶数月の15日(15日が土日祝日であれば、金融機関の前営業日)に支払いがあります。

例外的に奇数月に支払われることもありますが、その場合も15日支払いのルールは同じです。

ところが、共済組合が支給する年金は15日に限りません

今回のAさんの場合、15日に年金を決定したとの年金証書が届き、決定からしばらくして初回の支払いがありました。

15日の支給ではなかったので驚きました。

日本年金機構から支給される障害基礎年金が15日以外に支給されることはないので、Aさんの障害基礎年金は別の日に支給されることとなります。

このように、共済組合から支給される障害厚生年金と日本年金機構から支給される障害基礎年金の支給日は別になりそうなので、依頼者にはその旨事前にアナウンスすることが必要です。

ここだけの話、今回のまとめです

今回は、共済組合に対する障害年金申請について、民間サラリーマンに対するものとの違いを解説してみました。

共済組合と厚生年金が一元化されましたが、公務員の方の障害年金の手続きは注意点がたくさんありました。

今回のポイントは以下の点です。

  • 障害年金書類の提出窓口は初診日に加入していた共済組合に行い年金事務所への提出はNG
  • 国家公務員共済組合は10、地方公務員共済組合は64団体もあるため、提出窓口を確認すべし
  • マイナンバー申告書など共済組合ならではの提出書類が必要になるので注意する
  • 年金支払日も日本年金機構とは異なるので注意する

私自身、社労士になる前は、国が管轄する研究機関(厚生年金の適用事業所)で契約職員として働いていました。

国立研究開発法人でしたが、霞が関から職員が出向されてくると、国家公務員共済組合から厚生年金に変更する手続きを行っていたことを思い出しました。

ということは、研究所在籍中に初診日があると日本年金機構に申請、霞が関在籍中に初診日があると、省の共済組合に申請することになりそうです。

また、今回の経験で被用者年金一元化とはなんだったのかと考えさせられました。

これはつまり、一元化により受け取れる障害年金の制度の中身が統一されたということであり、手続き実務に関しては従来通りだったのです(組合と機構の2箇所に申請する必要はなくなりましたが)。

共済組合と言っても国と地方で80以上もあり混乱します。

一元化を機にこれらの実務もシンプルにならなかったものかと思います。

が、現実はそういうルールですから仕方ありません。

今回の経験を機に、共済組合の障害年金手続きも積極的に手掛けたいと思うようになりました。

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岡田真樹 みんなのねんきん社労士法人代表

大学卒業後メーカーに勤務。仕事中に左手を機械に巻き込まれ、親指以外を失う大ケガを負う。転職後、障害者雇用の枠で聴覚障害・発達障害・精神障害・身体障害を持つ方々と一緒に働いた経験を持つ。障害年金の手続きを自ら行なったことから年金制度に興味を持ち、社会保険労務士試験に合格。2020年よりみんなのねんきん社会保険労務士法人で実務の最高責任者を担い、2021年に代表就任。