私たちが障害年金受給の”成功率”を考えないたった1つのワケ

【みんなのねんきん】岡田社労士

岡田真樹

みんなのねんきん社労士法人代表

ここだけの話、今回はこんな話です

今回も相談業務でよく質問されることを書いてみたいと思います。

障害年金の受給を真剣に考えていらっしゃる方ほど、情報収集に熱心になっているようです

インターネット上では、様々な専門家が手続き代行の実績をアピールしていますが、どこまで本当なのかわかりません。

そういった事情からでしょうか。

専門家に依頼することを検討している方から「みんなのねんきん社会保険労務士法人では、障害年金受給の成功率は何%ですか?」と質問されることがあります。

少しでも確実に障害年金を受給したいという想いからの質問だと思います。

実は当社では、これまで障害年金の受給が認められた方が何%かの把握しておりません

ただ、このようなご質問はよくありますので、弊社のホームページでも「よくある質問」ページで簡単にお答えしています。

よくあるご質問 | みんなのねんきん社労士法人
よくあるご質問 | みんなのねんきん社労士法人

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私たちがどういう意図で受給が認められる率を把握しないのか。

今回のコラムは、この点をもう少し詳し説明したいと思います。

ここだけの話、こんな症状・こんな事例です

障害年金手続き代行業を行う業者が増えてきました。

例えば、

成功率95%以上!!

とホームページに明示されていれば、専門家に依頼するメリットがわかりやすいという側面があります。

しかし、

繰り返しになりますが、当社では、受給が認められた方が何%かの把握はしておりません。

なぜなら障害年金請求の実際の状況を考えると何%かの把握は、本質とは違うと考えるからです。

成功率の数字を表示するのはわかりやすい反面障害年金の認識を誤らせていることになっているのでは・・・と感じます

なぜでしょうか・・。

障害年金の受給は、成功・失敗ではない

障害年金は、国の国民年金、厚生年金保険の制度より支給されるものです。

どのような方が受給できるかは、国民年金法、厚生年金保険法の法律に要件が決められています。

障害年金を受給するためには法律に定められた要件を満たす必要があり、初診日要件、保険料納付要件、障害認定日要件の三つを障害年金の三要件といいます。

簡単に3つの要件を説明してみましょう。

初診日要件

障害の原因となった傷病について初めて医者に掛かった日(初診日)に国民年金または、厚生年金保険に加入していること。

保険料納付要件

初診日の前日時点で、年金保険料の未納が法律で定められた期間以上にないこと。

障害認定日要件

障害認定日(初診日から1年6カ月経った日または、その期間内に症状が固定された日)に法律で定められた障害状態であること

以上の3つの要件を満たしていると認められると障害年金が受給されます。

つまり、

法律の条件に合致していれば当然に障害年金の受給権が認められるので、あたかも実験のような、または下品な言い方をすればギャンブルのように成功・失敗と表現することは適していません。

これは、

私たち社会保険労務士が加入している全国社会保険労務士連合会が毎年行っている倫理研修でも必ず指摘を受けることです。

当然私たちも障害年金の受給が認められた方に対して「障害年金受給が成功した」とは思っていません。

障害年金手続きの難しさとは

障害年金手続きの難しさは、受給のための三要件をどのように証明するかにあります。

初診日要件と保険料納付要件を証明するためには、初診日の証明書を医療機関から取得しなければなりません。

医療機関が廃止されていたり、カルテの保存期間を過ぎていたり、証明が難しい場合もあります。

障害認定日要件では、どのような障害状態が法律で定められているかを理解しなければなりません。

そして、医師に年金用の診断書を依頼することになります。

医師には、どのような情報を伝えるべきかが重要になってきます。

法律で定められた障害状態であることを証明するためには、医師の診断書以外の書類も重要です。

文章の書き方によっては反対の意味になってしまったり、記すべき事実が抜けてしまったりで障害状態を証明できないこともあります。

障害年金の手続きは、書類を提出して行いますので、その他にも三要件の証明が困難なケースがたくさんあります。

その証明が難しいケースを何とかするために、我々、障害年金の専門家がいるわけです。

三要件の証明は個人個人でちがう

障害年金の三要件の証明の手段は、全ての方が同じではありません。

発病のきっかけやこれまでの病気の経歴、家庭環境、医師との関係性、など、証明の手段も請求者の数だけあります。

つまり、

ひとりひとりの状況は違いますから、成功率何%のように集計することに、意味はないと思っています。

また、

障害年金の受給の数字だけを追いかけてしまうと、三要件の証明が難しいサポートはお断りすることになるでしょう。

年金を受給しやすい人だけを選り好んで手続きを代行することにつながります。 

そのような姿勢で障害年金の専門家として名乗ってよいのでしょうか。

私たちは事前のご相談で、障害年金を必要としている方のお困りの状況特に伺ってカウンセリングするようにしています。

そのうえで「受給されるべき」方と判断したら、三要件の証明が難しい場合でも全力でサポートするというスタンスです。

障害年金を受給できそうか否かではなく、ひとりひとりと信頼関係を築き、寄り添っていくことこそが大事であり、私たちが最も大切にしていることです。

そのうで、どのような証明方法が有効だったのか無効だったのか事後に把握をし、私も講師をしている「障害年金カウンセラー養成講座」でメンバーと共有しています。

ここだけの話、今回のまとめです

今回は、障害年金の成功率は何%ですか?との質問に対して、私が思っていることを書きました

  • そもそも障害年金の受給は成功・失敗ではない

  • 三要件を満たしていることを証明できれば障害年金が受給される

  • 三要件の証明の方法は請求者の数だけある。何%認められたか統計できない

  • 事後にどのような証明が有効だったか、無効だったかの把握が重要

障害年金が認められることを「成功」と考えること、その数が「何%」と統計を行うことは、障害年金の本質から外れているものだと思います。

これまでの障害年金手続きをサポートさせていただいた方々は、全て状況が違っていました。

初診日証明が難しい方、障害状態の証明が難しい方、ひとりひとりの状況に応じて三要件を証明していく…そのためにも、いつも言っていますが、請求者の声を傾聴し、信頼関係を築いていくことをこれからも大切にしていきます。

  • この記事を書いた人
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岡田真樹 みんなのねんきん社労士法人代表

大学卒業後メーカーに勤務。仕事中に左手を機械に巻き込まれ、親指以外を失う大ケガを負う。転職後、障害者雇用の枠で聴覚障害・発達障害・精神障害・身体障害を持つ方々と一緒に働いた経験を持つ。障害年金の手続きを自ら行なったことから年金制度に興味を持ち、社会保険労務士試験に合格。2020年よりみんなのねんきん社会保険労務士法人で実務の最高責任者を担い、2021年に代表就任。

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