
ここだけの話、もう少し詳しいバージョンはnoteで読めます
もう少し詳しい文字数の多いバージョンはnoteで公開しています。
-
-
「ただの副作用で障害年金は無理でしょ」 ガンで障害年金を受け取れたBさんの事例|実録!岡田社労士の障害年金ここだけの話|みんなのねんきん/相談実績年間1,000件以上
ここだけの話、要約版はこちらです 要点だけ掴めれば良いという方に向けて、文字数を減らした要約版はこちらです。要約版では強調箇所がわかりやすくなっているとともに、最後のまとめで岡田社労士の想いを綴って ...
note.com
当コラムは、noteの要約版ですが、最後のまとめで岡田社労士のガンと障害年金に対する想いを載せている点が異なります。
スポンサーリンク
ここだけの話、今回はこんな話です
40代男性のBさんは大腸ガンと診断され、手術後に抗がん剤治療を開始しました。
しかし投与直後は強い倦怠感で寝たきりとなり、末梢神経障害で手足のしびれや痛みが悪化。
パソコン操作や自炊、歩行すら難しくなりました。
休職が長引き傷病手当金の支給終了が迫る中、Bさんは「末期ガンや人工肛門でなければ障害年金は受給できない」と思い込み、将来に対して絶望していました。
そんな時に「みんなのねんきん」へ相談に来られたのです。
ここだけの話、何が問題なのか
「ガン」で7割が休職・退職する現実
医療技術の進歩でガンは長く付き合う慢性疾患となりましたが、治療と就労の両立という新たな課題が生じています。
国立がん研究センターの調査ではガン診断時に働いていた人の53.4%が休職し、19.4%が退職・廃業に至っています。
つまり、ガンで7割が仕事を断念せざるを得ない現実なのです。
この中でも、特に退職者の約6割は「初回治療前」に離職しており、将来への不安から早期離職を選ぶ現状があります。
そもそも「ガン」は障害年金の対象?
生活費と治療費を支えるセーフティネットとして「障害年金」があります。
精神疾患や身体障害だけでなく、ガンの手術による人工肛門造設や、抗がん剤の重篤な副作用(倦怠感や神経障害)で日常生活が著しく制限される場合も支給対象になります。
つまり、ガンも障害年金の対象となるのです。
Bさんの事例の問題点1 勝手な思い込み
ガンと障害年金の関係で一つ目の問題は、「自分は対象外だ」という本人の思い込みです。
ガン自体の進行だけでなく、副作用による活動能力の低下も認定対象になります。
外見上の変化がなくても、激しい倦怠感や神経障害で生活に支障があれば受給できる可能性があります。
Bさんの事例の問題点2 症状の波
二つ目の問題は「症状の波(サイクル)」です。
抗がん剤治療では、投与直後は寝たきりでも、通院日には一時的に動けるようになることがあります。
医師は体調の良い通院時しかBさんの様子を見ることができません。
すると、Bさんの自宅での最悪な状態が把握されず、実態より軽い診断書が作成される可能性があります。
障害年金の審査で診断書は大きなウェイトを占めます。
とすれば、審査の結果、不支給となるリスクが生じてしまいます。
ここだけの話、みんなのねんきんはこう対処する
これらの問題に対し、「みんなのねんきん」はこう対処しました。
そのアプローチを紹介します。
等級を左右する「一般状態区分表」
まずは、ガンによる障害年金の審査を理解するところから。
ガンで障害年金を審査する場合、障害認定基準(以下「認定基準」)における「一般状態区分表(ア〜オの5段階)」が重視されます(ア・イは軽度のため省略)。
ウ:歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。
エ:身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力での屋外への外出等がほぼ不可能。
オ:身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られる。
出典:「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 令和4年4月1日改正」101頁|日本年金機構HP
認定基準では、全身倦怠や衰弱の程度に応じ「ウまたはイ」で3級、「エまたはウ」で2級の目安とされています。
Bさんのように痛みや倦怠感で日常生活が制限され「エ」と評価されれば、3級よりも手厚い保障が受けられる2級に認められる可能性が高まります。
「診断書」と「申立書」で審査の壁を乗り越える
つぎに、障害年金申請の書類に関して。
障害年金は完全な「書面審査」です。
ガンによる倦怠感や副作用を訴える場合は「血液・造血器・その他の障害」用の診断書を使用します。
上の問題点で示したとおり、医師は治療が本業であり自宅での状態を知りません。
そこで、
当方から「治療サイクルごとの体調変化」「食事や仕事への影響」を論理的に整理して情報提供し、正確な診断書の作成をサポートします。
併せて、「病歴・就労状況等申立書」も本人の代わりに作成し、診断書と相違のない具体的な困難さを記述します。
診断書・申立書・生活実態の「三点一致」が障害年金受給の絶対条件だからです。
無事に障害年金が決定される
まずは、Bさんの「ガンで障害年金は無理」という誤解を解くことから始めました。
つぎに、みんなのねんきんにおいて、医師への詳細な情報提供と隙のない申請書類を作成しました。
その結果、年金請求から数ヶ月後に無事、Bさんの障害年金が決定したのです。
ここだけの話、こんなところにも注意
最後に、今回のBさんの事例では無いですが、ガンと障害年金におけるよくある注意点をご紹介します。
人工肛門(ストーマ)造設の特例と働きながらの受給
大腸ガン治療等で人工肛門を造設した場合、原則として「3級」に認定されます。
ここで、身体障害者手帳では4級相当となることが多いため「年金も対象外だろう」と誤解しがちです。
手帳の等級と年金の等級の考え方は全く異なるので注意が必要。
さらに、通常の障害は初診日から1年6ヶ月経過する必要がありますが、人工肛門は「造設から6ヶ月経過した日」、新膀胱は「造設日」に受給権が生じる特例があります。
つまり、1年半を待たずとも早期受給が可能となります。
障害年金と健康保険の傷病手当金との関係は?
同一の病気で傷病手当金と障害厚生年金を同時に受け取る場合、重複給付を防ぐため年金が優先され、手当金は減額または停止されます。
ただし障害基礎年金のみの場合は調整対象外となるなど条件が複雑なため、事前確認が必要です。
場合によっては差額分を調整するため、これまでの支給額の一部を返さないといけない事態も起こり得るからです。
ここだけの話、今回のまとめです

今回は、ガンと障害年金に対するみんなのねんきんのアプローチをご紹介しました。
ポイントは以下のとおり。
- がんと診断されてその約7割が休職・退職。治療と就労・生活の両立が重い課題になっている
- 人工肛門などの外見的変化だけでなく、抗がん剤の激しい副作用による倦怠感や手足のしびれも障害年金の対象になる
- 「自分は末期がんでもないし対象外」という勝手な思い込みによって、受給できる権利を諦めてしまう人が非常に多い
- 通院日の「体調が良い日」の姿しか医師に見えないため、最悪な状態の生活実態が診断書に反映されにくい問題がある
- 障害年金は完全な書面審査のため、プロのサポートを得て適切な診断書や病状申立書を作成することが受給のカギとなる
ガンによる長期療養は、目に見える肉体的苦痛や目に見えない副作用の精神的苦痛に加えて、就労継続の危機という経済的プレッシャーをもたらします。
多くの方が「自分は障害年金の対象外だ」と誤解し、初回治療を前に退職を選んでしまう現実は、社会保障制度に対する情報不足が招いた結果と言えます。
しかし、本コラムで示す通り、末期がんでなくても、抗がん剤や放射線治療による「激しい倦怠感」や「末梢神経障害」といった副作用による活動能力の喪失は、立派な障害年金の評価対象となります。
適切な診断書の選択と、医師へ「治療の副作用によっていかに日常生活が破綻しているか」を正確に翻訳して伝える戦略を用いることで、障害年金の受給は十分に可能です。
また、人工肛門造設などの特例を活用すれば、働きながらでも堂々と権利を行使できます。
障害年金は単なる恩恵的な手当ではなく、患者が最先端の治療に専念し、生活の尊厳を維持するための極めて重要な「生存と自立のインフラ」です。
制度が複雑で自力での書類作成が困難な場合は、各地域の拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」や、障害年金の手続きを専門とする「みんなのねんきん」にご相談ください。
治療費と生活費の二重苦から抜け出すための第一歩を、決してご自身の判断だけで諦めないでください。

