どうしてこうなった?障害年金決定までに1年8ヵ月かかった、ある事情とは 前編

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岡田真樹 みんなのねんきん社労士法人代表

大学卒業後メーカー勤務中に左手を機械に巻き込まれ、親指以外を失う大ケガを負う。その後は障害者雇用の枠で聴覚・発達・精神・身体障害を持つ方々と働いた経験を持つ。障害年金の手続きを自ら行なったことを契機に社会保険労務士の道へ。2021年より現職。年間約1000件の相談に応じている。

【みんなのねんきん】岡田社労士

岡田真樹

みんなのねんきん社労士法人代表

ここだけの話、今回はこんなお話です

今回は弊社で相談を受けてから実際に障害年金が決定されるまで1年8カ月長い時間がかかってしまったケースをご紹介します

一般的に手続きに長時間かかる理由は、「必要な書類が集められない」「書類を作成できない」などが主なものです。

ご本人が手続きを進める場合、このような事情により時間がかかり、申請を諦めてしまうことがあります。

私たち専門家が手続き代行をする場合も同様で、このような事情で申請手続きを中断せざるを得ないこともあります。

今回ご紹介するケースでも、何度もあきらめそうになりましたが・・・なんとか、年金決定までに至りました。

何が原因で、これほど時間がかかってしまったのでしょうか?

今回は前編としてその経緯を具体的にお伝えいたします。

ここだけの話、こんな事例でした

抑うつ症状が2年以上続いていた

最初のご相談は電話でした。

お話を伺っている最中も、抑うつ症状がひどく、発病時の状況など最低限必要なことすらも話すことが辛そうでした。

病気の症状から、自室から出られず、家事も仕事もできず、このような状況が2年以上続いていたのです。

そうしたことから、障害年金を必要としている状況だと判断できました

さらに、現在の治療状況を確認すると、「かかりつけとなる病院がない」とのこと。

近所の内科に通っていましたが、精神的な病気とは診断されていませんでした。

別の傷病で受診されていたのですが、理解されぬうちに精神疾患の薬が処方されていたため医師に対して不信感が大きくなっていました。

そのため、直近2カ月は医療機関を受診せずに、自宅で療養している状態でした。

この時はこんなアドバイスをしました

電話口でお話を聞いているだけでも症状の重さが心配になるほどでしたので、精神科などの専門医の治療が必要と感じました。

そこで、

かかりつけとなる医療機関を探すことから始めるようご提案しました。

岡田社労士
岡田社労士
お話の症状では精神科での受診・治療が必要です。医療機関を選ぶ際のポイントは○○です

などをアドバイスしました。

とはいえ、

相談者が医師に対して大きな不信感を抱えている点、周辺には精神科などの医療機関が少ない点が不安材料でした。

大きな病院に行ってみても・・

その後、相談者から、地域の中でも大きい病院に行ってみたとの報告がありました。

しかし、診療科をたらいまわしにされてしまったとのこと。

別のクリニックも受診しましたが、症状を上手く伝えられずしっかりとした治療にはなりませんでした

「自分の病気はわかってもらえない」とさらに、不信感が大きくなっていました。

病院に行く行為自体が大変な負担となってしまったのです。

この時はこんなアドバイスをしました

障害年金の手続きを行うためには、現在の症状を診断してくれる医師が必要です。

医師の診断書なくして障害年金を受給することはできません。

しかし、相談者は病院に行くこと自体が負担となっています。

ここで、

障害年金手続きを進めるとはいえ、とにかく通院を強いることはあってはなりません。

そこで、相談者の状況を優先し、

岡田社労士
岡田社労士
病院に行けるようになったら行ってください。通院されたらその後に報告してください

とお願いしました。

状況改善に向けて一歩前進!

「もしかしたらこのまま、この方との相談も途切れてしまうかもしれない」

一抹の不安があったものの、それでも1~2週間おきに連絡があり、お話をお伺いする状況は続いていました。

そして、

前回病院に行ってから1カ月ほどたったころ、「少し遠いけれど大きい医療機関で診てもらう」となりました。

受診後の報告では、今までの医師より相性がよさそうとのことでした。

この時はこんなアドバイスをしました

相談者が今回通院された医療機関に行く前には、付き添いについてのアドバイスをしました。

というのも、

前回はたらい回しにされる・症状が的確に伝えられないなど、1人ではコミュニケーションに支障をきたしたためです。

岡田社労士
岡田社労士
可能であればご家族の付き添いが望ましいです

と伝えました(がしかし、ご家族の都合がつかず、結局1人で行くことになってしまいました)。

やむを得ず、

岡田社労士
岡田社労士
これまで医療機関に恵まれなかったこと医師の先生の前では決して無理せずに症状えてください

とアドバイスしていました。

結果的に良い医師に巡り会えたのは幸運でした。

医師への不信感が少しずつ解消され、通院ができるようになったことで、状況改善に向けて進めることになりました。

通院がストレスになっては、元も子もありません。「通院できる医療機関ができた」ことは、非常に大きかったです。

通院先が見つかるも、新たな問題が・・・

相性の良い医師と通院先が見つかり、状況改善の兆しが見えてきました。

通院することすら負担だったわけですから、大きな前進です。

次は、相談者ご自身の症状を医師に理解してもらわないといけません。

つまり、医師と相談者の間で信頼関係を築くわけです。

しかし、ここでまた問題が生じます。

実は、通院先の精神科には、常勤の医師がいませんでした。

相談者にとって、相性がよかった医師は、非常勤の医師だったのです。

このため、当該医師の勤務頻度および相談者の都合を考えると、通院は月に1回が限界。

月に1回の限られた時間のなかで、どれだけ医師と信頼関係が築けるか・・私も不安になりました。

この時はこんなアドバイスをしました

障害年金の手続きでは、医師に障害年金用の診断書作成を依頼します。

しかし、医師と患者との信頼関係が築かれる前に、診断書作成を依頼することは良くありません。

医師の側からしてみても、症状もよくわかっていないのに、いきなり障害年金の話をされても戸惑うはずです。

また、

精神疾患では、調子の波により、予約通りの通院ができないこともあります。

こうなると、当該精神疾患の病名も確定できません。

医師が症状をしっかり理解されてからでないと、障害年金が必要な状況かも判断できないからです。

そこで、

岡田社労士
岡田社労士
最初のうちは、障害年金の話はしないでください

とアドバイスしました。

まずは、月に1回という限られた時間の中で的確に自身の症状を医師に理解してもらうことが先です。

そこで、メモに症状を書き、そのメモを医師に渡しながら必要なことが過不足無く伝わるよう相談者にアドバイスしました。

「うつ病」と診断されるも、またしても問題浮上!

相談者が通院ができるようになり3か月ほど経過しました。

この時点で最初の弊社への相談から半年程度かかっていました。

そして、医師から「うつ病」との診断が告げられたとの報告がありました。

「うつ病」は、障害年金の対象となる病名です。

病名が確定したことで障害年金の手続きを開始してもいいと弊社では判断しました。

次回の受診時に自立支援医療の申請とあわせて、障害年金の申請を考えていることを医師に伝えてみることにしました。

メモ

自立支援医療とは「心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度」です(出典:厚労省ウェブサイト)。具体的には厚労省のこのページに詳しく掲載されています。

まず、自立支援医療については、医師の協力を得られることとなりました

しかし、障害年金に対する医師の反応は厳しいものでした。

障害年金に該当してる可能性はあるが、診断書作成については消極的とのこと。

診断書の作成は、別の医療機関に依頼するようも言われてしまいました。

この時はこんなアドバイスをしました

これまでの相談者の状況を考えると、今から別の医療機関に依頼するのは無理です。

相談者自身が病院に行けなくなるリスクもあります。

ようやく、信頼関係が築けた医師ですので、転院を勧めることもできません。

今の医師のもと、

岡田社労士
岡田社労士
とにかく通院を継続し、受診後の状況を報告してください

とお願いしました。

というのも、

医師の性格など、当該医師に関する情報がもっと欲しかったからです。

実は、後でわかったことですが、この医師は過去に別の方の障害年金の診断書について、内容を強要されたことがあったとのことでした。

そのため、診断書作成について、消極的になっていたのです。

ここだけの話、今回のまとめです

今回は、相談から障害年金受給まで1年8カ月もかかったケースについて、まずはその経緯を時系列に整理してみました。

ご覧になっていただいておわかりのように、障害年金手続きは簡単なものではありません。

「年金請求を希望する相談者」「その手続を代行する私たち専門家」「請求受付をする行政機関」、当事者がこれだけであれば、実は年金手続きは難しくはありません。

このため、老齢年金や遺族年金はご自身でもできるわけです。

ここに、「医療機関」が入るため、事情が複雑になります。

したがって、単に請求書類を書けるだけでは障害年金の専門家ではありません。

相談者・医療機関・行政機関の間に立ち、カウンセリングのノウハウを駆使しながらそれぞれの立場にたった対応が必要なのです。

長くなりそうですので今回は前編ということでここまで。

この状況下で一体どのように障害年金受給に結びつけたのか。

次回の後編にご期待ください。

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