ここだけの話、今回はこんな話です
障害年金の手続きを専門家に依頼すると、一体どういう流れで手続が進んでいくのか。
障害年金の手続きを自分で進めるべきか、専門家に任せるべきか悩んでいる方であれば気になりますよね。
今回はみんなのねんきん社会保険労務士法人に、うつ病で悩むあるキャラクターが相談するという設定で、その手続の流れをご紹介します。
参考にしてください。
ここだけの話、うつ病の事例を考えます
みんなのねんきんに寄せられる最も多い相談は「うつ病」を原因としたものです。
これまで当コラムでうつ病での障害年金について数多く触れてきました。
今回改めて、「うつ病」で障害年金の受給が認められるまでの手続きの流れを、ある事例を想定して解説したいと思います。
登場する相談者はみんなのねんきん公式キャラクターの「猫野トラさん」。
彼からの相談事例をもとに進めていきましょう。
架空のキャラクターではありますが、実際の相談対応に近いものとなります。参考にしてください。
ここだけの話、猫野トラさんから相談を受けました
傷病手当金の終わりが見えて不安を抱えるトラ
トラさんはある日、どういうわけか通勤電車に乗れなくなってしまいました。
みんなのねんきんのマンガに出てくる「田原さん」と同じ症状です。
通勤が難しくなってしまったトラさん。
医師に相談すると無理をせず療養した方が良いとのこと。
現在は仕事を長期休職し、傷病手当金を利用しています。
将来への不安を抱えるトラさんだったのでした。
傷病手当金とは
傷病手当金とは、勤務先で健康保険に加入中、病気やケガで休職しているときに利用できる休業保障制度です。
この手当金を受け取るためには、医師に「働くのは無理である」と判断された状態で、4日以上休んでいることが必要です。
すると、休職中の生活保障として、給与の約3分の2が健康保険制度から支給されます。
休職開始から1年6ヶ月分を受給すると傷病手当金は終了します。
詳しくは当ブログの以下のコラムで解説していますので参照してください。
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【2024年最新】うつ病でもらえる給付金・活用できる制度7つの条件や金額を解説 - みんなのねんきん社労士法人
うつ病を発症すると、多くの方は今後の生活に対する悩みを抱えます。こんな場合に社会保障制度から何かしらのお金が受け取れないでしょうか。実は、うつ病で会社を休んだり、退職した場合、さまざまな給付金や制度が ...
disability-pension.minna-no-nenkin.com
藁にもすがる想いでみんなのねんきんに相談するトラ
インターネットでみんなのねんきん社労士法人のウェブサイトを見つけたトラさん。
そのまま弊社のウェブサイトを経由してLINEによる相談が寄せられました。
トラさんに病名を確認すると「うつ病」とのこと。
「うつ病」は、障害年金の基準では、障害年金の対象となる病名です。
ということは、この時点の相談で、
とその可能性を考えます。
病名の次には、「初診日(その病気の診断を初めて受けた日)」を確認させてもらいます。
相談の時点では、詳細な日にちがわからなくて大丈夫です。
おおよその年月がわかればOK。
何歳ころ初めて受診したかでも問題ありません。
おおよその初診日がわかると、年金保険料の納付について聞きます。
障害年金を申請するためには、保険料納付要件を満たしていることが必要だからです。
保険料納付要件とは
- 初診月の前々月までの被保険者期間に、保険料を納めた・免除を受けた期間が全体の2/3以上ある
- 初診日の前々月直近1年間に、保険料の未納(滞納)期間がない
のどちらかを満たしていることが必要です。
会社員だった期間が長く、その中で初診日があると、保険料納付要件の「2」を満たせる可能性が高くなります。
初診日の前々月の直前に無職の期間があったりすると、年金の納付状況の確認が必要になってきます。
現在は、マイナンバーカードで、スマホから過去の納付状況が確認できます。
トラさんの初診日は、相談時から約1年4カ月前でした。
長く会社員であることも確認できました。
ここで私が確認できたのは、「初診日に厚生年金加入している」「保険料納付要件も問題ない」です。
つまり、この時点で「うつ病で障害年金を申請することができる」ことが確定しました。
ここで、
障害年金には、3つの要件(1:初診日要件、2:保険料納付要件、3:障害状態該当要件)があり、3つめの要件が最も難しいです。
障害等級表に定める1級から3級に該当しているかどうか・・・
相談において、ここから障害の状態を聞き出すことができるか、聞き出した内容から障害等級に該当していると判断できるか、専門家の腕の見せ所です。
トラさんにヒアリングを続けると
「復職はまだまだ難しい」
「会社の規則で1年6ヶ月後に退職になる」
「独りでは身の回りが上手くできない」
とのこと。
家族からの助けがあり、何とか生活している状況です。
ここまでの情報を総合して、
と判断しました。
そこで、トラさんには
と話しました。
みんなのねんきんでは、いきなり「では弊社にお任せください!」ではなく、まずは、ご自身で申請手続を行う流れを説明します。
その上で手続き代行を依頼していただくか、相談者自身に検討してもらいます。
すると、トラさんは、
「年金事務所に何度も訪問することが難しい」
「申請書類の内容が難しい」
ことから、弊社に手続き代行を依頼してくれることとなりました。
遠方の方でしたので、契約書は、郵便配達で送付し、業務委託契約の締結となりました。
ここだけの話、みんなのねんきんでは手続代行をこうする!
step
1年金記録の確認
みんなのねんきんの手続代行では、まず、年金記録の確認から行います。
相談時に年金保険料についてヒアリングしますが、記憶違いや誤解していることも多々あります。
したがって、客観的な資料に基づいて、最初にしっかり確認することが重要です。
トラさんの場合は、発症してから間もないこともあり、相談時に申告していただいた情報と変わりないことが確認できました。
step
2初診日証明書類の整備
年金記録から保険料の納付要件が問題ないことを確認できると、次に初診日の証明書の整備を行います。
現在、診療を受けている医療機関と初診の医療機関が違う場合は、この証明書の取得が必要。
「受診状況等証明書」という名称の文書となります。
そこで、
初診の医療機関にこの証明書の作成を依頼することになります。
初診日がいつであったのか、その際の診断内容を証明してもらいます。
この書類の作成依頼・取得は相談者の代わりに弊社が行います。
トラさんは、現在診療を受けている医療機関が初診の医療機関だったので「受診状況等証明書」は不要となります。
step
3診断書作成の依頼
診断書は、3つ目の要件の障害状態を証明するために非常に重要。
現在診療を受けている医師に診断書作成をお願いすることになります。
みんなのねんきんでは、当該医師に対して診断書作成のための情報提供を行っています。
情報提供のための資料は、相談者や相談者のご家族から聴き取りを行った内容をもとに作成します。
例えば、
- 障害の原因となった病気を発症したきっかけや受診に至った経緯
- 障害の症状から日常生活にどのような支障が生じているか
などを聴き取ります。
トラさんの場合は、仕事による多大なストレスが原因でした。
業務内容、業務量、社内の人間関係など・・・
仕事から離れ長期間休職していましたが、症状が改善しないまま現在に至る状況です。
日常生活については、ご家族からも聴き取りすることができました。
聴き取りの時間は、30分ほどです。
聴き取りした内容から、医師が作成する診断書に反映すべき事実を資料にします。
その資料とともに、医師に診断書の作成依頼を行うわけです。
step
4その他に申請に必要な書類の整備
医師に診断書を作成してもらい、その内容に問題なければ、請求書類一式の提出に向けて進めていくことになります。
トラさんの医師も障害年金が必要との判断でしたので、診断書の内容も問題ありませんでした。
私が作成した資料も参照いただけたそうです。
障害年金で記入が必要なその他の書類として、「病歴・就労状況等申立書」があります。
これは文字通り病気や就労の状況を時系列で整理した自己申告の書類です。
実はこの「病歴・就労状況等申立書」の作成ができないために、障害年金の申請をあきらめてしまう方もいらっしゃいます。
もちろん、弊社において「病歴・就労状況等申立書」の作成を行います。
既にヒアリングにおいてこの申立書作成のために必要事項も聴き取りしているので、改めて相談者に対して聴取の手間を取らせることもありません。
この申立書も障害年金決定を左右する重要な書類です。
専門家としてのノウハウを駆使して作成していくことになります。
さらに、
「年金請求書」も記入が必要な書類です。
こちらは、基礎年金番号(個人番号)や住所など請求人にかかる情報を記入します。
初診日、請求傷病なども記入するのですが、「年金請求書」は、間違えないように正確に記入することがポイントです。
加えて、住民票や戸籍謄本などの添付書類、障害年金とは別制度の給付金として「年金生活者支援給付金請求書」も揃えて提出します。
そして、弊社において書類一式の提出も行います。
トラさんとのやりとりは、最初の相談から請求書類の提出まで、基本的に弊社の公式LINEのみで行えました。
ただ一点、診断書依頼前のヒアリングだけは、電話でお話させていただきました。
みんなのねんきんのでは、このような形で手続きを進めていますので全国からご相談をお寄せ頂いているのです。
step
5提出後の対応
請求書類一式の提出後は、審査機関の日本年金機構から問い合わせが来ることがあります。
書類の差し戻し=「返戻」というものです。
返戻は、窓口で受付した提出書類の内容や添付書類に不備があったため戻されることを指します。
障害年金では、審査の過程で、確認が必要となり、新たな資料の提出が求められることがあります。
この返戻対応も代理人として弊社が行います。
トラさんの場合は、返戻もなく、順調に審査が進みました。
結果は、請求書提出から約3カ月後にトラさんのご自宅に郵便で届きます。
と連絡があったときは、私も
と一安心でした。
年金証書が届いたということは、年金の決定が確定したということです。
さて、最後に、
届いた年金証書には、障害年金の初回の振込がいつかまでは記載がありません。
年金が支払われる月の頭にハガキでお知らせがあるのですが・・・
そこで、初回の年金振込がいつになるかについても弊社で調査したうえで相談者にお知らせします。
その後、
無事に年金の振込が行われ、手続代行の手数料をお支払いいただいたら、一連の手続きは終了ということになります。
ここだけの話、障害年金手続きを専門家に任せるメリットはどこにある?
専門家に障害年金の手続き代行を依頼するメリットは、端的に言えば、「面倒なことを省略できる」ことにあります。
上で説明したように、障害年金の手続は年金事務所や医療機関などとやり取りしないといけません。
病気の症状から、外出が難しい、人とのやり取りが困難なケースはよく耳にします。
そこで専門家が代わりに関わることで、その点をカバーできることになります。
みんなのねんきんでは、障害年金決定までLINEのみ、メールのみのやり取りで終えられます。
人と関わることが苦手な方には、手続き代行は大きなメリットでしょう。
また、
年金請求に必要な書類一式の整備においても専門的な知識が必要になります。
知識が無いままでは、必要の無い書類を医療機関に依頼してしまい、文書代金が無駄になってしまうこともあります。
さらには、
単に書類を提出すれば障害年金を受け取れるというものではありません。
すべての書類について、障害年金を受け取れる内容となっているのか、判断しないといけません。
せっかく障害年金を受け取れそうな状態なのに、書類に反映できず、不支給となってしまってはもったいない。
費用がかかるというデメリットはありますが、専門家に依頼するということは、それを上回るメリットがあることを感じて欲しいです。
ここだけの話、今回のまとめです
みんなのねんきんでの障害年金相談のほとんどは「うつ病」の方です。
そこで、改めて、みんなのねんきんの手続き代行がどのような流れになっているか「猫野トラさん」を交えて解説してみました。
ポイントは以下のとおり。
- みんなのねんきんでの相談のスタートはウェブサイトから
- 年金記録確認→初診日証明書類の整備→診断書作成の情報提供→その他の書類整備→提出 という流れ
- 専門家に任せれば面倒なことを省略できる
相談者に発症のきっかけを聞くと、「誰にでも良くある状況」であることが多いです。
仕事で上司と反りが合わない、学校でいじめられた、家庭で配偶者とうまくいかない などなど。
つまり、「誰でもうつ病に罹患する可能性がある」のです。
そうなってしまった場合の生活をどうするか。
そのための社会保障制度として障害年金があるわけです。
せっかく国が用意してくれたこの制度、うまく活用したいものです。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表