ここだけの話、今回はこんな話です
我が子に障害がある場合、将来に不安を感じない親御さんはいません。
そんな幼少期から障害をお持ちの方が20歳から受け取れる障害年金があります。
通常の障害年金とは異なる「20歳前傷病の障害基礎年金」(はたちまえしょうびょうのしょうがいきそねんきん)というもの。
今回は障害をお持ちのお子さんの親御さんからの相談が増えている現状と、障害年金手続きに立ちはだかる3つの問題点とその解決策についてまとめてみました。
ここだけの話、親御さんからの相談増えてます
我が子の将来を案じる親御さんからの障害年金の相談が増えています。
その背景として、インターネットの普及により、障害年金など障害者に関する情報にアクセスしやすくなったことが挙げられます。
加えて、障害を持つ子どもを持つ親御さんたちの間で、障害者向けの制度への理解が深まっていることもあるでしょう。
ひと昔前は、障害があることを隠す・・・なんてこともありました。
障害を持つお子様が成人を迎える際、心配する最大のポイントの一つが「生活基盤の確保」です。
障害のために、就労が困難な状況ですとなおさらです。
我が家も子どもがいますので、将来安定した生活を送ってほしいと願う親御さんたちの気持ちは、痛いほどよく分かります。
そこで、検討したいのが障害年金。
公的年金制度が用意している障害を負った場合の給付金です。
保険料を納めていないのに受け取れる?
障害年金は公的年金制度から支給される障害者に対する所得保障制度で、以下の3つの要件を満たしていると受け取ることができます。
障害年金受け取りのための3要件
- 初診日要件:障害の原因となった傷病について初めて医者に掛かった日(初診日)に国民年金または厚生年金保険に加入していること
- 保険料納付要件:初診日の前日時点で、年金保険料の未納が少ないこと
- 障害認定日要件:障害認定日(初診日から1年6カ月経った日)に法律で定められた障害状態であること
以上の3つ全てを満たせなければ障害年金は受け取れません。
とすれば、
20歳になっていなければ、通常は国民年金に入っていないので、上の1つ目の「初診日要件」を満たせませんし、もちろん保険料も納めていないので2つ目の「保険料納付要件」も満たせません。
障害年金は諦めるしか無い?
いえ。このような場合に用意されているのが、「20歳前傷病の障害基礎年金」です。
初診日に年金制度に加入していなくても、保険料を1円も納めていなくても、一定の障害状態にあれば、最短で20歳になってから受け取ることができます。
障害年金の請求手続きは簡単ではないため、親御さんが手続きや書類の準備に悩むことも少なくありません。
親御さんは仕事をしてるため、手続きのために時間を作ることも大変です。
といったものが弊社への相談として増えているのです。
ここだけの話、20歳前傷病の障害基礎年金ってなに?
福祉的な要素で支給される国民年金制度からの年金
そもそも、保険料を1円も納めていないのに受け取れる年金とはどういうものなのでしょうか?
この「20歳前傷病の障害基礎年金」は、上の3要件を満たせば受け取れる通常の障害年金とは別枠で用意されているものです。
名前に「基礎」と入っているので国民年金制度から支給される障害年金となります。
メモ
「厚生」と入っていると厚生年金保険制度から支給される年金で、働いて社会保険に入っているときに障害を負うと、障害「厚生」年金を受け取ることとなります。
ここで、
国民年金法は、その第1条で
日本国憲法の生存権(日本国憲法第二十五条第二項)の理念に基づいていること、
また、第2条で
国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うもの
としています。
社会保険である厚生年金保険とは異なり、「保険」という字が入っていないため、国民年金制度は生存権に基づいた福祉的な要素で年金が支給されます。
その代表的なものが「20歳前傷病の障害基礎年金」なのです。
この年金の特徴は、年金制度加入前に初診があるため保険料納付要件が問われません。
保険料を全く納めることができなかった方でも、公的年金制度加入前に初診日があると、請求できることになります。
ただ、
保険料を納めていない分、通常の障害基礎年金と違う点があります。
年金の権利が生じても、以下に該当すると年金が止められてしまいます。
- 所得が一定額を超えるとき(472.1万円超で全額停止 令和6年度)
- 日本に住所がないとき
- 刑事施設等に拘禁されるとき
とはいえ、
弊社も多くの20歳前障害の障害基礎年金を手掛けてきましたが、以上の理由で年金が止められた事例に遭遇したことはありません。
普通の環境にある一般の方は心配する必要はないでしょう。
手続きをするうえで問題になること
それでは、この「20歳前傷病による障害基礎年金」の手続きをするうえで問題になることはなんでしょう。
実は3つの問題点があります。
1 就労している
ADHDやASDなどの発達障害や知的障害の方で、特別支援学校に進学し、そこから仕事を紹介されているケースがあります。
二十歳前傷病の障害基礎年金を申請できる20歳時点で、就労により所得があるケースになります。
「就労し所得があるから、障害年金が難しいと言われた」との相談もあります。
そのため、障害年金をあきらめるべきか悩んでいる方がいます。
現在は、障害者雇用や障害への理解・配慮を行っている企業があります。
このような場合、障害年金請求時に、就労の実態をしっかり訴えることで、年金が認められる可能性が出てきます。
弊社では、障害者雇用で週5日就労されている方で、年金の受給に結びつけた実績があります。
2 初診日の証明が難しい
この「20歳前傷病の障害基礎年金」であっても、年金制度加入前の初診日を証明する書類は必須。
ところが、
幼少期に、今の障害につながる初診がある場合で、証明が難しいケースがあります。
初診から時間が経っていると医療機関の記録が破棄されている、廃院となっている、などで初診日の証明ができないケースです。
初診日の証明方法は、状況により多くの方法がありますが、一般の方がそれらの方法をご存知とは思えません。
3 手続きをする時間がない
幼少期から障害があるお子さん自身が手続きを行うよりも、親御さんが手続きを代わりに行うケースが圧倒的。
とすれば、
忙しい合間を縫って役所や年金事務所を訪問する必要があります。
一般の方が手続きをする場合、一度ではなく、何度も訪問しないといけないことも多いです。
手続に必要な書類を集めることも必要になりますし、ご自身で年金受給が認められる書類を作成しなければいけません(単に記入すれば良いというものではないのです)。
そのため、手続きをあきらめてしまう方も多いです。
ここだけの話、みんなのねんきんはこう対応する
そこで、我々のような専門家への相談事例が増えている冒頭の話につながります。
専門家に依頼する場合、費用がかかってしまうというデメリットはありますが、ほとんど全ての手続を代わりに行ってくれる大きなメリットがあります。
ただ、
専門家であれば誰でも良いというわけではないことに注意してください。
豊富な経験に裏付けられた専門知識がなければ、受け取れるはずの年金も受け取れないということになりかねないからです。
現に他の専門家に相談したら難しくてできないと断られたというご相談が多く、そういった案件を弊社では年金に結びつけています。
特に、20歳傷病の障害基礎年金の場合、初診日の証明が難しいケースは割と多く遭遇します。
みんなのねんきんでは、様々な初診日の証明方法のノウハウを駆使して、難しいケースを数多く解決しています。
また、繰り返しになりますが、障害年金は単に書類を提出すれば、全員に年金が振り込まれるというものではありません。
障害年金が決定されるであろう内容になっていなければいけません。
さらには、書類提出後も気を抜くことはできません。
日本年金機構から提出書類について問い合わせがあったり、不備を指摘されて別途資料を揃えて再提出する事態も起きるからです。
そのような場合でも代わりに対応するのでご安心を。
最後に、みんなのねんきんでは、物理的にお会いすることなく、最初から最後までLINEやメールで行うことができます。
そのため、北海道から沖縄まで全国の方のフォローが可能です。
専門家を選ぶ際の選択肢の1つとして、みんなのねんきんへの依頼をぜひお考えください。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、20歳前傷病による障害基礎年金について解説しました。
ポイントは以下のとおり。
- 公的年金加入前の障害をカバーする「20歳前傷病の障害基礎年金」は通常の障害年金とは別の制度
- ご自身で手続をしようとしても3つの問題(就労・初診日証明・時間)をクリアーする必要がある
- 経験豊富な「みんなのねんきん」なら障害年金手続きに関する面倒・不安を解消できる
日々、障害年金の相談を受ける中で、幼少期からの発達障害や知的障害について、周囲の理解が深まっていると感じます。
そのためでしょうか。
20代前半で障害年金受給を考える方のご相談が増えています。
また、
周囲や社会の理解が進むことで、障害者雇用が進み、障害者の就労環境が改善しつつあります。
弊社が手続きを代行し、障害者雇用への就職活動が不安なく行えたとのうれしい報告を受けたこともあります。
とはいえ、
障害をお持ちのお子様の将来への不安がなくなることはありません。
今後も、障害年金手続代行を通じて、発達障害や知的障害で幼少期からお悩みのご本人・親御さんに寄り添っていきます。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表