ここだけの話、今回はこんな話です
みんなのねんきん社会保険労務士法人はうつ病などの精神疾患に悩む方の障害年金手続きの相談を多数受けています。
「私の症状で障害年金が受け取れますか?」
このようなご相談が非常に多いです。
弊社では、症状等を詳しく聞いてカウンセリングを実施し、その可能性があれば、障害年金の申請手続きを行うべきことを伝えます。
その際、まずは、自身で行う障害年金の申請手続きの方法・手順について説明します。
ご自身での手続きが難しいとご本人が判断した場合に限り、弊社での手続代行を勧めるというスタンスです。
という方もいらっしゃると思います。
そこで、今回から数回にかけて、自身で手続きを行いたい方に向けて、障害年金の申請手続きの方法・手順について、その注意点・専門家に任せるメリットを詳しく説明していきます。
第1回は自身で手続きを行うと決めたら始めに行うべきことについて、まとめました。
ここだけの話、自身で手続きをすることも可能です
まずは手続きの話の前に、どのような条件を満たすと障害年金を受け取れるのか。
障害年金制度の支給要件を理解するところから始めましょう。
障害年金を受け取るための3要件
障害年金は、初診日要件、保険料納付要件、障害認定日(障害状態)要件の3つの要件をすべて満たしていると、受け取れます。
まずは、この3つがOKでなければ、手続きを始められません。
障害年金受け取りのための3要件
- 初診日要件:障害の原因となった傷病について初めて医者に掛かった日(初診日)に国民年金または厚生年金保険に加入していること
- 保険料納付要件:初診日の前日時点で、年金保険料の未納が少ないこと
- 障害認定日要件:障害認定日(初診日から1年6カ月経った日)に法律で定められた障害状態であること
1つ目は初診日に会社勤めなら厚生年金保険、そうでないなら国民年金に加入しているはずです。
2つ目は保険料を納めていること。
初診日の前日において、直近1年間に未納が無いことが必要です。
会社勤めであれば、保険料は天引きされているので未納はありませんが、ご自身で納めていた場合は注意です。
直近1年内に未納があっても、まだ可能性はあります。
その場合は過去に遡って未納が少ない状態か否か調査が必要です(未納が一定未満であればこの要件を満たせます)。
そして、特に3つ目、「障害認定日要件」はわかりにくいと思います。
どのような状態だったら、法律で定められた障害状態に該当するのか・・・弊社でも多くの相談が障害認定日(障害状態)に関する相談なのです。
最後に、
障害年金を受け取るためには、申請が必要です。
要件を満たしたからといって、自動的に支給されるものではありません。
そこで「一体何をするのか」手続きの方法・手順を弊社では説明するのですが、これは、ご自身で手続できるか判断してもらうためです。
手続きが簡単なのか難しいのか、それによって専門家に依頼すべきかそうでないのか、情報が必要です。
このような情報が無いまま、手続代行を勧めるのはプロとして不親切です。
また、仮に手続き代行をご依頼いただく場合、代理人として信頼いただくためにも、これらの説明を事前にしっかり行っています。
まずは申請に必要な書類を手に入れるところから
必要書類はどこで手に入れるか
障害年金受け取りのための3要件を満たせていそうと考えて、何から始めるべきか。
まずは、必要な申請書類を手に入れるところから始めます。
必要な書類一式は、市区町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターで入手できます。
また、日本年金機構のホームページからダウンロードすることも可能です。
入手先の違いに注意する
いくつか入手先がありますが、それぞれに違いがあるので注意です。
というのも、障害年金は、初診日に加入していた制度によって受け取れる年金(国民年金なら「障害基礎年金」、厚生年金なら「障害厚生年金」)が異なるからです。
年金の種類が異なれば、必要な書類も変わります。
例えば、初診日において学生や専業主婦の方は国民年金制度からの障害基礎年金を受け取ることとなるため、市区町村役場の国民年金課で入手できます。
つまり、市町村役場で必要書類を入手できる場合は、障害基礎年金を請求することが確定している場合となるわけです。
一方、
年金事務所、街角の年金相談センターでは、国民年金、厚生年金のどちらでも書類を入手することができます。
障害厚生年金を請求することが確定している方だけでなく、障害基礎年金を請求することが確定している方も大丈夫です。
また、
初診日に公務員だった場合は、加入していた共済組合から必要書類を入手できます。
共済組合の年金の担当課に連絡すると郵送してもらえます(様式は、年金事務所・街角の年金相談センターと同じ障害厚生年金用のものとなります)。
どんな書類が手に入るのか
それではどのような書類を入手できるか見ていきましょう。
年金事務所、街角の年金相談では、「障害年金請求キット」として、以下の書類を受け取れます。
必ず渡される書類として1から5、病歴や手続きの進行に応じて6から10も渡されます。
- 障害年金ガイド
- 障害年金の請求にあたっての注意事項
- 病歴・就労状況等申立書
- 障害年金請求書(障害基礎・障害厚生)
- 障害年金の請求手続きのご案内(障害基礎・障害厚生)
- 受診状況等証明書
- 受診状況等証明書を添付できない申立書
- 障害年金の初診日に関する調査票
- その他(特別な事情があるときに提出する)
- 診断書(障害に応じて8種類)
たくさんの書類になりますが、この中で、書類を完成させて提出するものは、以下のとおりです。
3.病歴・就労状況等申立書 4.年金請求書 10.診断書
(複数の医療機関を受診されていると6.受診状況等証明書も必要)
窓口まで取りに行く場合の注意点
必要書類を窓口まで取りに行く場合は注意しなければいけない点がいくつかあります。
まず、市区町村役場や年金事務所では、窓口の担当者が障害年金に詳しいとは限りません。
年金の請求手続きは、障害年金の他に、老齢年金や遺族年金があります。
老齢年金や遺族年金の手続きも行っていますので、障害年金を専門としている担当者はマレです。
したがって、窓口担当者にご自身の症状の相談をしても、的確な答えが返ってこない可能性があります。
窓口では書類入手に徹した方が良いでしょう。
さらに、年金事務所に来訪する場合、予約してからの方が良いです。
予約しなくとも受付けはしてもらえますが、混雑具合により、待ち時間が生じます。
私の経験ですと、最長で3時間ひたすら待ったことがありました。
こんなときは?自分で手続きする場合の初動の悩みあれこれ
初診日がはっきりしない、初診日に加入していた年金制度がわからない場合は?
弊社に多く寄せられるうつ病などの精神障害の場合、初診日がいつなのかわからないというご相談も多いです。
例えば、次々に受診する病院を変えて(いわゆる「ドクターショッピング」と言います)、結果として過去に複数の医療機関を受診されてきたとします。
すると、いつが初診日かわからなくなってしまいます。
このような場合、
市区町村役場や年金事務所の窓口で相談しても、受付がされず、手続きが進まない可能性があります。
というのも、
初診日が確定しなければ、「初診日要件」「保険料納付要件」も判定できないからです。
このような状況下でご自身で手続を進めるのは非常に難しいと言わざるを得ません。
窓口の担当者に状況をうまく説明できず、精神的ストレスが大きくなればかえって病状が悪化するかもしれません。
最近の事例で、窓口の担当者とのやり取りが上手くいかずに障害年金を受け取れず、結局裁判にまで発展したという例もあります。
初診日がわからない場合は、専門家に相談することが一番です。
必要書類を取りに行けない、入手した書類の意味がわからない
弊社には、申請書類を入手すること自体、ハードルが高いとのご相談があります。
例えば、症状によっては外出が難しかったり、予約を入れても体調悪化で行けなかったとのこと。
何とか市区町村役場や年金事務所に辿り着いても「用紙がもらえなかった」との相談もあります。
窓口の方針によっては、障害年金の3要件を確認できなければ必要書類を交付しないというケースがあるようです。
窓口では対人のやり取りになります。
ご病気の症状から上手く話せず、障害年金の要件を満たしていることが伝わらなかったとのこと。
弊社への相談でも、「言葉ではうまく説明できないのでメールのやり取りでお願いしたい」というご要望は多いです。
それだけ、対人・対面でのやり取りはストレスになります。
こういった場合は、日本年金機構のホームページより、書類をダウンロードするのが良いでしょう。
ダウンロード後、自身で印刷した書類を提出する方法で、問題なく受け付けてもらえます。
ようやく申請書類を手に入れても、それぞれの書類が何のために必要で、その意味がわからないというご相談もあります。
書類の意味はわからないけど、とりあえず提出すれば年金を受け取れる、という性質のものではありません。
提出後に年金事務所から書類に関する問い合わせが来ることも多くあり、ご自身では意味がわからず、対応できずに断念してしまうケースも耳にします。
ここだけの話、みんなのねんきんに代行を依頼するメリットとは
ご自身での手続きは難しいと判断した場合、みんなのねんきんに手続き代行を依頼する場合のメリットをご紹介します。
メリット1
行政機関の窓口に出向く必要がなくなる
申請書類を手に入れるために、わざわざ出掛ける必要がなくなります。
専門家として当然のことですが、障害年金に必要な書類を一式、常に揃えていますので、すぐに書類作成に取り掛かれます。
メリット2
保険料を納めてきたか無料で調査してくれる
障害年金受給のための3要件の2つ目に「初診日の前日時点で、年金保険料の未納が少ないこと」というのがあることはご紹介しました。
これまでコツコツと保険料を納めてきたと自信がある方は問題ありません。
未納期間が少しでもありそうだと思う場合は調査が必要です。
障害年金の3要件は、全て満たす必要がありますので、この保険料納付要件で1ヶ月でも条件に合わなければ、どんなに病状が悪くても年金は受け取れません。
そこで、みんなのねんきんではご依頼を受任した段階で事前に納付状況の調査をします。
年金事務所で確認するのですが、弊社のノウハウを駆使して予約不要で確認しますので、実はそれほど時間がかかりません。
専門家によっては、着手金をもって調査の費用に充て、万一納付要件を満たせない場合は着手金は戻らない場合もあるそうです。
みんなのねんきんでは、保険料納付要件が満たせない場合はそこで手続代行は終了し、費用もいただきませんのでご安心下さい。
メリット3
イレギュラーな状況でも対応方法を考えてくれる
「初診日がはっきりしない」「初診日に加入していた年金制度がわからない」
というイレギュラーな状況でも、これまでの経験から最適な対応方法を考えます。
行政機関の窓口との折衝を含め、必要な情報を確認し、依頼者が不利益を受けないよう手続きを進めます。
実は、申請書類は単に空欄を埋めて提出すれば良いというものではありません。
障害年金受給の可能性が高まるよう、弊社のノウハウを駆使して書類作成を行います。
時には必要書類のリストには無い専門家としての意見書も提出するなどして、依頼者のご期待に最大限応えられるよう進めます。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、自身で障害年金手続きを行う場合について、第1回は申請書類を手に入れる場面における注意点についてまとめました。
書類入手のための各窓口のポイントは以下のとおりです。
-
市区町村役場の国民年金課 → 初診日が国民年金時代にあり、障害基礎年金を請求することが確実な場合
-
年金事務所、街角の年金相談センダー → 障害基礎年金だけでなく障害厚生年金を請求する場合でもOK
- 共済組合 → 初診日に公務員であれば、当時加入していた共済組合から取得する
-
年金事務所では「障害年金請求キット」が手に入る
-
日本年金機構ホームページ → 様式をダウンロードして印刷するものでもOK
障害年金手続きをご自身で行うつもりなら、以下の全てに当てはまるかどうか考えてみてください。
- 行政機関の窓口に必要書類を取りに出向くことができる
- これまでの状況を説明するなど行政機関の窓口で担当者とやり取りできる
- 初診日がはっきりしている
- 保険料をきちんと納めている
少しでも不安な要素があれば、最初から専門家に任せたほうが結局は早期の受取開始につながります。
また、ご自身で手続することは「障害年金の性質」を考えればおすすめできません。
というのも、
ご自身で上手く手続きできてしまったために、かえって障害状態が軽いと判断された事例があるからです。
ご病気や障害で体が思うようにならない方が受け取れる保障が障害年金ですから、「自分でできるならそれほど重くないのでは?」と判断されてもやむを得ない側面があります。
こういったことも総合的に判断して、ご自身で行うか専門家に代行を依頼するか考えるべきです。
さて、次回は、医療機関への書類の依頼の仕方について説明したいと思います。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表