ここだけの話、今回はこんなお話です
今回はまさに、”ここだけの話”をさせてください。
弊社への障害年金相談のお話です。
手続きを行っていく中で、医師との関係が悪化してしまったために、大変困っているとのこと。そこで弊社に相談したいとのことでした。
詳しくお話を聞かせてただいたところ、ある誤解が原因のようでした。
SNSなどのネットから簡単に情報を得られる時代だからこそ、注意したい”ここだけの話”をまとめてみました。
ここだけの話、こんな経緯でした
発達障害の症状から不安感が大きい方でした
相談者は、発達障害で長年辛い思いをされている方でした。
発達障害は病気の特性により、こだわりが強くなる傾向があります。
お話を聞くなかで、障害年金の手続きをしっかり行うことについて、強いこだわりが感じられました。
そのこだわりのため、診断書の内容について、医師に強くお願いしたために、関係が悪化した様子でした。
また、
発達障害の他に「うつ病」の診断名がつかないと受給できないと誤解されていました。
「うつ病」と診断されるまで、転院を繰り返したこともあったそうです・・・。
つまり、
SNSやネットの情報をそのまま鵜呑みにして、「ネットで見た事例通りでないといけない」と、思い込んでいる方の相談だったのです。
ネットの情報は個別のケースに当てはめたものではない
最近は「精神障害に係る等級判定ガイドライン」や「障害認定基準」の内容を説明しているインターネットでの解説や動画も見かけるようになりました。
メモ
「精神障害に係る等級判定ガイドライン」は精神疾患による障害年金決定に関して、日常生活能力の程度・日常生活能力に関する7項目の平均点からおおよその等級の目安を示したものです。
メモ
「障害認定基準」は精神疾患以外の障害を含めて、年金法で定める障害状態の基準を具体的にまとめたものです。
この点、
これらの解説や動画自体、悪いものではありません。
障害年金に関する国の周知が足りないと批判する前に、われわれ専門家が情報を発信することが必要だと思うからです。
ただ、
これらのネットの情報には注意が必要です。
なぜなら、
ネットの情報はあくまで一般的な解説であって、お一人お一人の環境や状況に合わせた解説ではないからです。
そのまま、「こうすれば、受給できる」と安易に行動すべきではありません。
ですので、
私たちはお一人お一人しっかりお話を伺ったうえで、個別のケースに応じたカウンセリングを心がけています。
その上で、相談者が障害年金を受給できる状態であることをどのように年金機構に証明していくかを考えていきます。
ここだけの話、この事例ここが問題です!
今回の相談の最も大きな問題は、ネットの情報を鵜呑みにしたことによる、医師との関係性の悪化という点です。
医師との関係が悪化するとどんな問題が生じるでしょうか。
最も影響するのは、今後の治療です。
精神疾患では、薬の処方による治療法や医師との会話による精神療法・心理療法が行われていることが多いです。
医師との関係性が悪化したため、通院がしにくくなることも起こり得ます。
通院ができないと治療を受けられません。治療が受けられなければ、症状がさらに悪化していきます。
また、
障害年金の受給が認められた後も、定期的に更新の手続き(「障害状態確認届」の提出)が必要になります。
障害状態確認届が届いたときは、「診断書」欄を医師に記載してもらう必要があります。
関係性が悪化したため、通院していないと診断書の依頼もできません。
転院したとしても、前医でそのような状況があると、新たな医師と信頼関係を築くことは難しくなってきます。
さらには、その他の障害者支援制度を利用する場合でも、医師の協力が必要になります。
今回の相談者のケースもこのままでは将来に悪影響を及ぼしかねない状況でした。
ネットの情報を鵜呑みにするあまり、医師との関係性を無視してまで、診断書の内容に口を挟む事態。
診断書は、医師が判断して作成するものです。
医師の意見を尊重せずに障害年金が認められることに固執してしまい、医師との信頼関係が築けない状況だったのです。
ここだけの話、みんなのねんきんではこう対応しました!
結論から先に申し上げると、みんなのねんきんで対応することで、医師との関係性を改善することに成功しました。
ネット上の情報のみでは、個別のケースを判断できません。
最初に、
しっかり、弊社でカウンセリングを行った結果、相談者の障害状態は、制度で想定している状態と合致していることが判断できました。
そして、相談者が不安にしていた、医師に意見する前の診断書の内容でも問題ないとも判断しました。
次に、
相談者と医師に、誤解があったことを私たちから丁寧に説明することを続けました。
相談者には、日常生活で困難なことを確認しながら、手続き上の不安点をご納得いただけるまで何度も説明しました。
一方で、医師には、相談者(患者)は、不安感が強いこと・どの行動に顕著なこだわりがあるか、情報提供を行いました。
その上で、医師の判断を尊重する旨をお伝えしました。
もちろん、今後の治療について、当該医師にお世話になることもお伝えしました。
障害年金の審査は、総合的に判断されます。診断書の内容だけではないことも説明しました。
そうすることで、医師の誤解も解け、実際の事実が反映した診断書となったのです。
あのまま、手続きを進めていたら、医師との関係悪化だけでなく、手続き書類も一貫性のないものとなっていました。
もし、認められたとしても、今後の更新の手続きで問題となっていたかもしれません。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、障害年金を無理にでも受給したいがために、医師との関係性が悪化してしまったケースについて書いてみました。
ポイントは以下のとおり。
- ネットの障害年金事例が個人のケースに当てはまるとは限らない
- 医師との関係性が悪化すると、将来の治療や各種手続きに影響が出る
- 相談者に寄り添う専門家に手続き代行を依頼すべき
今回の相談では、障害年金の専門家として、情報の発信内容について、改めて考えさせられました。
障害年金の解説は個別のケースによることをしっかり説明しないと、かえって手続きをする権利を妨げることにもなりかねません。
その点で、「こうすれば障害年金をもらえる」という無責任な情報発信はしないよう心がけています。
また、
手前味噌ですが、ポイントの最後に「相談者に寄り添う専門家に手続き代行を依頼すべき」と列挙しました。
もし、今回の相談者が他で相談した場合、「よそに相談して欲しい」と言われた可能性があります。
簡単に手続きでないケースは引き受けないという専門家もいるからです。
私たちはそういう姿勢は取りません。
それは、弊社の理念を常に意識しているからです。
「年金で障害者に寄り添い、年金で社会に貢献する」が弊社の理念。
この理念があったからこそ、粘り強く相談に応じることができたと思っています。
一般的に、
精神疾患の病気は、将来に向けても治療を継続されている方が多いです。
そのため、医師との関係性を非常に重視しています。
障害年金の専門家として、その関係性を壊さないだけでなく、より、医師と患者の信頼関係が強くなるようしていかないといけません。
障害年金の誤解を解くことや医師との関係性修復は、非常に根気のいることでした。
これまでの治療のことを考えると、気軽に転院を進めることは、私にはできませんでした。
障害者のこれからのことを重視し、どのようにすべきか考え対応したのが今回のケースになります。
引き続き、「年金で障害者に寄り添い、年金で社会に貢献する」の理念を実現していくために、日々の業務を行っていきたいと思います。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表