ここだけの話、今回はこんな話です
みんなのねんきん社会保険労務士法人はうつ病などの精神疾患に悩む方の障害年金手続きの相談を多数受けています。
「私の症状で障害年金が受け取れますか?」
このようなご相談が非常に多いです。
弊社では、症状等を詳しく聞いてカウンセリングを実施し、その可能性があれば、障害年金の申請手続きを行うべきことを伝えます。
その際、まずは、自身で行う障害年金の申請手続きの方法・手順について説明します。
ご自身での手続きが難しいとご本人が判断した場合に限り、弊社での手続代行を勧めるというスタンスです。
という方もいらっしゃると思います。
そこで、数回にわけて、自身で手続きを行いたい方に向けて、障害年金の申請手続きの方法・手順について、その注意点・専門家に任せるメリットを詳しく説明していきます。
第4回(最終回)は自身で記入する書類の注意点について、まとめました。
第3回はこちらです。
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自身で手続きするための障害年金講座 第3回 障害状態を証明する診断書を手に入れる
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第2回はこちらです。
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自身で手続きするための障害年金講座 第2回 初めて医者に掛かった時の証明書を手に入れる
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第1回はこちらです。
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自身で手続きするための障害年金講座 第1回 申請書類入手で気をつけることは?
ここだけの話、今回はこんな話です みんなのねんきん社会保険労務士法人はうつ病などの精神疾患に悩む方の障害年金手続きの相談を多数受けています。 「私の症状で障害年金が受け取れますか?」 このようなご相談 ...
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ここだけの話、今回は自分で用意する書類についてです
障害年金請求キットの中身を再度確認すると・・
今回も「障害年金請求キット」の中身を確認するところから始めましょう。
- 障害年金ガイド
- 障害年金の請求にあたっての注意事項
- 病歴・就労状況等申立書
- 障害年金請求書(障害基礎・障害厚生)
- 障害年金の請求手続きのご案内(障害基礎・障害厚生)
- 受診状況等証明書
- 受診状況等証明書を添付できない申立書
- 障害年金の初診日に関する調査票
- その他(特別な事情があるときに提出する)
- 診断書(障害に応じて8種類)
この中で、自身で記入する書類は、3病歴・就労状況等申立書 と 4障害年金請求書(障害基礎・障害厚生) になります。
今回はこの2つの書類の注意点・書類提出時の注意点を見ていきます。
病歴・就労状況等申立書とは?
なんのための書類?
まず「病歴・就労状況等申立書」から。
これは何のために提出するのでしょうか?
と考えるのももっともですが、診断書だけでは足りません。
ここで、
第3回で説明した「受診状況等証明書」や「診断書」は、ある時点の症状・状態を証明するもの。
前者は初めて医療機関を受診した時の、後者は障害認定日(初診日から1年6ヶ月を経過した日)時点・事後重症請求の場合は請求する時点の症状・状態となります。
これに対し、
病歴・就労状況等申立書は、ある一時期の症状・状態を証明するものではなく、病気の発症・怪我をしたときから現在までの全体の病歴の流れを本人が申し立てるものになります。
請求者本人でなくとも代理の方が本人に聴取したうえで作成しても問題ありません。
申立書の中身は、病気の発症・怪我をした時から最初の医療機関を受診し、現在までの状況を具体的に記載していくものになります。
病歴・就労状況等申立書の中身を確認
それでは、実際の病歴・就労状況等申立書を確認してみましょう。
「障害年金請求キット」に入っている用紙の他に、日本年金機構のホームページからドキュメントファイルをダウンロードできます。
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病歴・就労状況等申立書を提出するとき|日本年金機構
続きを見る
書類の記入は、手書きでなくとも構いません。
パソコンで作成したものをプリントアウトして提出しても大丈夫です。
また、
例えば精神障害と肢体障害のように、複数の障害で申請を行うときは、各障害ことに病歴・就労状況等申立書の作成が必要になります。
記入時の注意点は?
病歴・就労状況申立書を記入する際の注意点を確認していきましょう。
大事なポイントは、初めて医療機関を受診してから現在まで、時間的な空白を作らずに記入すること。
3~5年程度、受診されていた医療機関の通院期間で区切って記入します。
また、
医療機関に作成してもらった診断書などと矛盾が無いよう注意して記入する必要があります。
病歴・就労状況申立書にまつわる弊社への相談あれこれ
病歴・就労状況等申立書作成にまつわる弊社の相談事例をご紹介しましょう。
ご自身で作成が困難との相談が多いです。
弊社では、ご本人の病歴を詳しくヒアリングして、大事な部分とそうでない部分をメリハリをつけて作成します。
単純に時系列で病歴を並べれば良いというものではありません。
ここは専門家のノウハウが発揮されるところです。
過去にご自身で障害年金請求を行って認められなかったというご相談の場合、過去の請求時の申請書類を確認します。
診断書などの医師が作成した書類には問題が無いのに、年金が認められなかったという場合に疑うのは一つ。
病歴・就労状況等申立書の内容が原因という場合です。
実は以前、日本年金機構の審査担当者に確認したことがあります。
審査側の回答は、「同様に取り扱う」とのことでした。
つまり、
素人が作った書類だから、その点を考慮して審査する ということにはならないのです。
ですので、自身が作成する病歴・就労状況等申立書の内容も非常に重要。
”障害年金が受け取れるような”病歴・就労状況等申立書を作成できるか。
作成者の力量が問われると言っても過言ではありません。
障害年金請求書とは?
傷病名と初診日に注意
次に、障害年金請求キット4の「障害年金請求書」について見ていきましょう。
この書類の書き方については、書き方見本通りに記入していけば、基本的に問題ありません。
日本年金機構のウェブサイトに書き方の注意点が動画で紹介されていますので参考にしてください。
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障害基礎年金を請求するとき|日本年金機構
続きを見る
1点、大事な点は「傷病名」、「初診日」の欄。
この欄は医療機関から取得した資料からそのまま正確に記載する必要があります。
というのも、この記載を元に障害年金の審査が進んでいくため、矛盾があると最悪の場合、不支給という結果になりかねません。
例えば、よく確認せずに素人の思い込みで「A病」として記載し、診断書にはよく似た「A’病」と記載されていれば、「これはA病を証明する診断書ではない」ということでハネられてしまいます。
初診日の日付も同様です。
マイナンバーで手続きがラクに?
年金請求の手続き全般は、近年マイナンバー(個人番号)によって、必要書類の省略が進んでいます。
障害年金も同様で、マイナンバーとの連携でいくつかの書類が不要となります。
まず、年金受取の銀行口座について。
これまでは、金融機関に出向いて確かに口座があることの証明印をもらったり、証明印がない場合は通帳のコピーが必要でした。
マイナンバーとの連携によってこれが不要となります。
「公金受取口座として登録済の口座を指定」にチェックをするだけです。
メモ
ただし、事前にマイナポータルで公金受取口座として金融機関の口座情報を登録しておく必要があります。登録しておけば年金に限らず、国からの給付金を迅速に受け取れるようになります。
つぎに、
障害年金は対象の家族がいる場合は本体に加算される家族手当がありますが、家族のマイナンバーを記入することでメリットがあります。
本来であれば、家族手当加算のための書類として戸籍謄本、世帯全員の住民票、家族の所得を証明する所得証明書が必要になります。
これが、マイナンバーを記載することで住民票・所得証明が不要となります。
また、
独身の方で加算対象者がいない場合でも、マイナンバーの記入で住民票が不要となるので家族がいるいないに拘わらず、マイナンバー連携のメリットがあります。
メモ
記入されたマイナンバーが正しいものかを確認するために年金事務所の窓口でマイナンバーカードまたはマイナンバーの記載のある住民票+運転免許証などの身元確認の書類の提示が必要です(家族のマイナンバーの確認のための書類は不要です)。詳しくは年金請求書の注意事項に記載がありますので確認してください。
いよいよ年金請求書一式を提出!
必要な書類が全て揃うと、申請書の提出になります。
提出先は日本年金機構が運営する年金事務所です。
提出は郵送でもできますが、記入漏れなどの確認をする必要があるので年金事務所の来訪予約をしてお客様相談室の窓口で提出するのが良いでしょう。
実は、全国どこの年金事務所でも受付てもらえますが、お住まいを管轄している年金事務所での提出を勧めます。
(↓こちらから検索可能です)
-
全国の相談・手続き窓口|日本年金機構
続きを見る
というのも、提出した申請書類の保管を始め、申請以降のやり取りは管轄年金事務所と行います。
管轄以外の年金事務所に提出すると、管轄の年金事務所を経由する時間が生じるため、始めから管轄の年金事務所に申請しましょう。
また、
申請する時期ですが、月内の日付で年金事務所に受付されるようにしましょう。
仮に1月末に提出しようとして年金事務所を予約をしたものの、2月の初めしか予約枠がなく、そこで受付けしてもらっても支給される年金は「3月分」から。
もし1月中に受付けされていれば、「2月分」から受け取れた。
つまり、1か月分の年金が無駄になってしまうことになるからです。
せっかく1月中に書類が完成していたならもったいない。
これは日本年金機構のミスではなく、そのようなルールになっているからです。
というのも、
障害年金の請求は、年金請求書の受付月に権利が生じ、その翌月分から支払い対象になるというルールだからです。
メモ
例外的に、初診日から1年6カ月が経過した日を障害認定日として請求する場合は遡って支払い対象になるので「翌月分から」ということにはなりません。このあたりは「自身で手続きするための障害年金講座 第3回」でも解説していますのでご覧になってください。
このように申請書類の提出についても細かな配慮が必要です。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、自身で障害年金手続きを行う場合について、第4回(最終回)は自身で作成する書類として「病歴・就労状況等申立書」「年金請求書」「申請書類提出時の注意点」を解説しました。
ポイントは以下のとおり。
- 病歴・就労状況等申立書は発症から現在までの全体の病歴の流れをまとめたもの
- 年金請求書の「傷病名」「初診日」は他の書類と矛盾の無いように正確に記載する
- マイナンバーとの連携で、住民票や所得に関する証明が不要。公金受取口座の登録もあれば、受取口座の証明も不要。
- 管轄の年金請求書に月内に受付してもらえるように提出すべし
今回まで、全4回にわたり、障害年金手続きを自身で行う流れを説明してきました。
注意すべきことがたくさんあることがおわかりいただけたかと思います。
なぜこんなに面倒なことが盛りだくさんなのか?
それは、国は障害年金を認めれば、病状が続く限り、長期的に保障を続ける必要があるからです。
だから、審査で厳しく確認が行われるわけです。
そしてその審査は書類のみの一発勝負。
だからこそ、必要書類の1つ1つに細心の注意を払う必要があります。
というものではありません。
一発勝負なので、
と思ってもひっくり返すのは容易なことではありません。
という意識が必要です。
そう感じたら、専門家にお任せください。
手続代行の費用はかかりますが、その代わりに長期間に渡って年金が受け取れるなら、費用の高い安いを考えるよりも迅速に受け取れることの方が優先ではないでしょうか。
申請書類の提出が1カ月伸びれば、1か月分の年金が消えていきます。
専門家はたくさんいますのでしっかり比較検討をして依頼しましょう。
その際に「みんなのねんきん」を思い出してもらえば幸いです。
最後までご覧下さりありがとうございました。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表