ここだけの話、今回はこんな話です
「決まったはずの障害年金が振り込まれない!」
こんな相談が急増しています。
一体何が起きているのでしょうか。
今回は詐欺被害による銀行口座の凍結とその対処方法について、解説します。
ここだけの話、こんな相談増えてます
最近、障害年金相談業務で増えているご相談があります。
との相談です。
詳しく確認していくと、年金の振込先として指定した金融機関の口座が凍結されてしまっているとのことなのです。
実は、以前からこのような相談を受けたことがあり、過去にコラムにまとめたことがあります。
-
実録!年金が引き出せない!事件に巻き込まれて口座が凍結されたAさんを救った裏技とは
ここだけの話、今回はこんなお話です うつ病で悩むAさんの障害年金手続きを代行し、あとは年金の決定がされるのを待っていたある日。 Aさんからこんな連絡が来ました。 え?これじゃ初回の年金が振り込まれない ...
続きを見る
この口座凍結による年金受け取り不能の相談は、最近特に増えていると感じています。
口座凍結となってしまう方がこれ以上増えないよう、注意喚起として、今回、コラムとしてまとめることとしました。
ここだけの話、なぜこんな相談が増えているのか
銀行などの口座が凍結されてしまう原因は、詐欺による被害です。
障害年金のご相談の多くは、精神疾患に罹患されている方です。
精神疾患の症状の特性・特徴から、詐欺被害に遭われないよう注意しないといけません。
では最初に、精神疾患の症状にはどのような特性・特徴があるのか、以下にまとめていきます。
こんな症状がある精神疾患
以下に各精神疾患の症状の特徴を抜粋します。
出典は「MSDマニュアル」からとなります。
-
MSDマニュアル
MSDマニュアル(米国およびカナダではMerckマニュアルと呼ばれます)は、1899年以後現在に至るまで、医師、学生、および家庭向けの医学文献マニュアルのグローバルスタンダードになっています。
www.msdmanuals.com
うつ病
- 疲労感または気力減退
- 無価値感、不適切なまたは過剰な罪悪感
- 思考力もしくは集中力の減退または決断困難
双極性障害(抑うつ状態はうつ病と同様)躁(そう)状態
- 自尊心の肥大または誇大性
- 観念奔逸または思考促迫
- 注意散漫
- 望ましくない結果を招く可能性が高い活動(例:買いあさり、ばかげた事業への投資)への熱中
統合失調症
- 思考にまとまりがなくなる
- 焦燥
- 認知障害(注意、作業記憶または陳述記憶、問題解決、社会的相互作用の理解など)
ADHD(注意欠陥多動性障害)
- 不注意
- 衝動性
- 多動性
このように主要な精神疾患を見てみると、判断力や注意力が低下している、不安感や焦りが大きくなるなどの症状があることがわかります。
精神疾患という障害のために就労できない方が多いですから、そもそも健常者と比べて生活費などお金に関する不安があります。
そのため、「お金が戻ってきます!」「楽に稼げます!」などと言われれば、詐欺の被害に遭いやすい状況と言えるでしょう。
もし、犯罪者が精神疾患の方を狙って、詐欺を行っているとしたら・・・到底許すことはできません。
詐欺はこんなところに潜んでいる
口座凍結につながる可能性のある詐欺は、近年、ますます巧妙化し、その種類も多岐にわたります。
以下に、代表的な例をいくつかご紹介します。
振り込め詐欺
- オレオレ詐欺:身内を装い、お金を騙し取ろうとする最も一般的な手口
- 架空請求詐欺:未払い料金や架空の料金を請求し、支払いを迫る詐欺
- 還付金詐欺:税金や保険の還付金を騙る詐欺
- 融資保証金詐欺:融資を受けるために、手数料名目で現金を要求する詐欺
ネットショッピング詐欺
- 架空のサイト 存在しない商品やサービスを販売する偽のサイトで、代金を支払っても商品が届かない詐欺
- 商品が届かない 正規品と偽って高額な商品を購入させ、安価な類似品や全く異なる商品を送ってくる詐欺
投資・融資詐欺
- 高額な配当を約束する投資 投資話を持ちかけて高額な資金を騙し取ろうとする詐欺
- 闇金 法外な金利で金を貸しつけ、多額の利息を請求する違法な金融
個人情報詐取
- フィッシング詐欺:銀行やクレジットカード会社を装い、個人情報を聞き出す詐欺
- なりすまし詐欺:知り合いや企業を装い、SNSなどで個人情報を盗み出す詐欺
ここだけの話、なぜ詐欺に遭うと口座が凍結されるのか
さて、ここまで精神疾患の症状や、様々な詐欺の形をご紹介しました。
なぜ詐欺の被害に遭うと銀行口座が凍結されてしまうのでしょうか?
それは、犯罪に加担したことになってしまうからです。
口座凍結につながるのは、以下の行為になります。
パターン1 犯罪に利用された口座への振り込み
詐欺などの犯罪に利用された口座に振り込んでしまうと、犯罪に関連する口座と疑われます。
パターン2 マネーロンダリングに利用された口座となってしまう
詐欺などの犯罪によって得られたお金が、被害者の口座を経由して別の口座に移動させられる場合、その口座がマネーロンダリングに利用されたとみなされます。
つまり、
犯罪に利用された口座にお金を振り込む・犯罪で得られたお金が振り込まれる、この2パターンで口座凍結されているようです。
精神疾患の方の判断力・注意力が低下している状況ですと、口座に知らないお金が振り込まれていることに気付けません。
知らないうちにマネーロンダリングに利用され、犯罪者の協力者とされてしまうこともあります。
非常に悪質です。
ここだけの話、凍結されたらこうすべし
口座が凍結されたとわかった時の連絡・相談先を列挙します。
① 金融機関に連絡
口座を開設している金融機関に連絡し、状況を説明する。
② 警察に相談
詐欺被害にあったことを、すぐに警察に相談しましょう。
③ 弁護士に相談
複雑なケースや、より詳しい法的アドバイスが必要な場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
家族の方や身近な方にもすぐに相談してください。独力で解決することは難しいからです。
特に①・②は、迅速に行うべきです。
また、
障害年金は、口座が凍結されても、時間はかかりますが別の手段で受け取る方法があります。以前紹介したコラムをご覧ください。
-
実録!年金が引き出せない!事件に巻き込まれて口座が凍結されたAさんを救った裏技とは
ここだけの話、今回はこんなお話です うつ病で悩むAさんの障害年金手続きを代行し、あとは年金の決定がされるのを待っていたある日。 Aさんからこんな連絡が来ました。 え?これじゃ初回の年金が振り込まれない ...
続きを見る
そして、
なによりも注意してほしいのは、不審なメールやメッセージ、広告には注意してください。
少しでも疑問に思ったら、絶対にクリックしたり、個人情報を伝えたりしないようにしてください。
これらのメールは緊急性を装って、いますぐ対処しないとマズイという正常な判断ができない状況でこちらの行動を促します。
また、「簡単に儲かる」、「絶対に儲かる」という話はありません。
普通に考えたらおかしいはず。
うまい話しには裏がある です。
日本年金機構やLINEにおいても詐欺への注意喚起が行われています。こちらも確認してください。
-
ご注意|日本年金機構
www.nenkin.go.jp
ここだけの話、今回のまとめです
精神疾患の方は、症状から判断力や思考力が低下していることがあります。
症状につけこんで詐欺を行っているとしたら決して許されません。
そして、せっかく我々も骨を折って認められた障害年金が振り込まれない状況は見過ごせません。
今回は障害年金に関係する内容ではないかもしれませんが、あまりに口座凍結されたとの相談が多くあり、注意喚起を目的としてまとめました。
ポイントは以下のとおり。
- 障害年金が振り込まれるはずの銀行口座凍結の相談が急増している
- 精神疾患の症状から詐欺の被害に遭う可能性は健常者よりも高い
- 犯罪に利用された口座にお金を振り込む・犯罪で得られたお金が振り込まれる、この2パターンで口座凍結されている
- 口座凍結されても慌てずに関係各所に連絡・相談すべき
- うまい話には裏があるということを肝に銘ずべき
みんなのねんきん社労士法人では、障害年金手続きのために、請求者の個人情報を取得しています。
したがって、個人情報の取扱いには、細心の注意を払っております。
セキュリティについても全社員で情報共有して頻繁に見直しを行い、漏洩が起こらないようにしています。
そもそも、障害年金の相談実務は、精神疾患による辛い症状をなんとか助けたいという想いで仕事をしています。
その辛い症状に対して、詐欺により追い打ちをかけることは決して許せません。
ブログ読書の皆様においても最大限に注意を払っていただけたらと思います。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表