障害者ゴルフオープンに参加したらわかった障害者スポーツの舞台裏

【みんなのねんきん】岡田社労士

岡田真樹

みんなのねんきん社労士法人代表

ここだけの話、今回はこんな話です

トラ
トラ
お!今日はワシの好きなゴルフの話か?

はい。今回は障害年金手続きからちょっと離れて、障害者スポーツに関するコラムです。

私自身も障害があるため、障害者スポーツについては、以前より興味がありました。

今回、2022年の「日本障害者オープンゴルフ選手権」に参加できたので、その体験をみなさんにお伝えします。

みんなのねんきん社労士法人は「年金で障害者に寄り添い、年金で社会に貢献する」ことをビジョンとして掲げています。

障害者に寄り添うためには他の障害者と交流して、理解することが必要。

ハンデを抱えながらも各人が目標のためにひたむきに取り組む姿勢をお伝えできればと思います。

ここだけの話、今回はゴルフ選手権についてです

きっかけは「日本障害者ゴルフ協会」への入会

私は仕事中の怪我により、左手の親指以外を失いました。

障害者となった直後は不安しかなかったことを覚えています。

ただ、不安ばかり感じていても仕方がない、前を向いて進もうと考える中で、私自身も障害者スポーツに参加できれば・・・と考えていました。

というのも、

パラリンピックなどのイベントで障害者が活躍する姿が映し出されているからでしょうか、私が障害者であることを周囲に告げると、障害者スポーツについての話になることが多かったからです。

岡田社労士
岡田社労士
私の障害でどんなスポーツに参加できそうか・・

ただ、障害者スポーツは、障害の程度によって、厳しくカテゴライズされています。

障害の種類や程度によって、有利・不利とならないようにするためです。

そのため、私自身の障害の程度ですと、参加できる障害者スポーツがなかなか見つかりせんでした。

そんななか、調べていくなかで見つけたのが「日本障害者ゴルフ協会

NPO法人 日本障害者ゴルフ協会 – Japan Disabled Golf Association
NPO法人 日本障害者ゴルフ協会 – Japan Disabled Golf Association

Japan Disabled Golf Association

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入会の条件は身体障害者手帳を持っていることでそれ以外は特に求められていませんでした。

私は大怪我する前にはゴルフをかじっていましたが、障害を負ってからは離れていました。

ですが、みんなのねんきん社労士法人で仕事を始めてから徐々に練習を始めていたのです。

というのも、

ゴルフを通じて障害のある方と接する機会が増えるはずと考えるようになったからです。

そんなわけで2022年、協会への入会を果たしました。

ついに始まった!日本障害者オープンゴルフ選手権

入会後、すぐに「日本障害者オープンゴルフ選手権」の連絡がきました。

この大会は毎年開催されており、多くの障害者が参加しています。

前回は、北海道での開催だったのですが、今回は、自宅からも近い関東での開催。

早速、エントリーしました。

障害者ゴルフはどんなスポーツ?

障害者ゴルフの大きな目標は、

障害者ゴルフの普及と振興を行い、ゴルフを通じてバリアのない社会環境づくりに寄与することを目的とする。

(出典:特定非営利活動法人日本障害者ゴルフ協会定款より抜粋)

とあります。「バリアのない社会環境づくり」という趣旨には大いに賛同できます。

みんなのねんきんも社会に貢献しようという方向性が同じだからです。

さて、

障害者ゴルフは、障害の種類によって、部門が分かれています。

  1. グランプリの部
  2. 車いすの部
  3. 下肢障害の部
  4. 上肢障害の部
  5. 片マヒの部
  6. 軽度障害の部
  7. 重複障害の部
  8. 知的障害の部

大会の前日に、医師による面談を行い、障害の種類の確認が行われます。

障害の種類や競技レベルによるクラス分けです。

初参加される方は、全員、医師との面談を行います。

ちなみに、グランプリの部はパラリンピックや国際大会を目指す上級レベルのクラス。

このグランプリの部で良い成績を残せば上位の大会の可能性が見えてきます。

岡田社労士
岡田社労士
私も当然、グランプリの部です!

と読者のみなさんにも言いたいところですが、私のゴルフの腕前がそれを許しませんでした・・(汗)。

結局のところ、面談の結果「軽度障害の部」として参加することになったのです。

大会前夜から交流が始まりました

クラス分けの面談後はルールの説明がありました。

障害者ゴルフといっても、ルールは一般的なゴルフ規則に則ったもの。

その他に、日本障害者ゴルフ協会の行動規範の順守、車いすの部が主な対象となるローカルルールがありました。

ルール説明のあとは、前夜祭へ。

画像にはアメリカの国旗が掲げられていますが、アメリカからの参加もあります。

冒頭には代表理事より、日本障害者ゴルフ協会の行動指針についてお話がありました。

  1. ゴルフをパラリンピックに
  2. 誰もが楽しめるゴルフを
  3. 末長く続く組織に

の3点。障害者ゴルフをこれからも発展させようという意気込みが伝わるお話でした。

その後は他の参加者との交流会。

和気あいあいと参加者の皆さんと楽しいひとときを過ごせました。

互いの出身やゴルフ歴だけでなく、障害となったきっかけなどお話し、さらに突っ込んで障害者となったときの不安や、周囲の理解、生活の困難さなど多くのこと共有できました。

大会初日

開会式・始球式

大会は2日間。初日はスタート前に開会・始球式が行われました。

(タップで拡大)

こちらは、招待選手のアレックス・フォーリー選手。

ウクライナ出身・アメリカ育ちの隻腕(せきわん、片腕)ゴルファー。

片腕だけで最長300ヤードも飛ばすとか。

今回、グランプリの部で4位の成績でした。

以下のコラムに詳しく書かれています。

【ゴルフノンフィクション】母国ウクライナへ思いを届ける片腕のゴルファーが語る「ゴルフ・イズ・マイライフ」 - みんなのゴルフダイジェスト
【ゴルフノンフィクション】母国ウクライナへ思いを届ける片腕のゴルファーが語る「ゴルフ・イズ・マイライフ」 - みんなのゴルフダイジェスト

今秋開催された第27回日本障害者オープンに招待選手として出場したアレックス・フォーリー。彼は上腕部分から右腕がない、隻腕(せきわん)ゴルファーだ。ウクライナ出身で、チェルノブイリ原発事故の孤児でもある ...

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ここで、

障害者ゴルフがパラリンピックの種目となるためには、ダイバーシティ(多様性)や競技性も問われます。

例えばダイバーシティについては、上で紹介したゴルフ選手権のポスターにあるように、女子の部があります。

こちらの女性も片腕でプレイしています。

そして、グランプリの部への参加選手は、障害の程度だけでなく、ゴルフの実力が条件となり、オフィシャルハンデが必要になります。

ここはまさに、パラリンピックの競技性が問われる部分です。

ボランティアの同伴が健常者のゴルフと違うところ

ゴルフは、通常3~4名一組で行われます。

障害者ゴルフのこの大会も同じ。

ただ、健常者のゴルフとは違い、ボランティアの方が多く参加されます。

片マヒ障害や下肢障害のように歩行が困難な方はクラブを取りに行くことが大変。

そこで、参加者の補助として、一組に一人ボランティアが同伴します。

初日、私は下肢障害(義足)、片マヒ(左半身)障害、ボランティアの方と同じ組でプレーしました。

ボランティアの方は、障害に応じて、プレー進行が遅くならないよう、さまざまな配慮をしてくれます。

そして競技が始まった!

スタート前には、競技委員の方から一組ごとに説明が行われます。

ルールや成績の提出方法などの確認が行われました。

また、コース内へのカートの乗り入れが可能となっていました。

ゴルフコースの管理状態がいいことが条件になりますが、障害者ゴルフにおいて、次のプレー地点までの移動時間が負担なく行えるようカートは必須と感じました。

途中の休憩は、外にテントが設置されており、階段を使用しなくて良い配慮がされていました。

大会2日目

あいにくの雨で疼痛が・・

2日目は、初日と組み合わせも変わり、上肢障害、片マヒ(右半身)、ボランティアの方とのプレーになりました。

あいにくの雨で、気温も低い日でした。

私の場合、雨や気温により、怪我した箇所に疼痛(とうつう)を感じます。ですので、この日は、プレーに支障が出ないよう注意が必要でした。

他の方も気温が低いと、身体の動きへの影響が大きいようでした。

疼痛については、個人個人によって違いがあります。

マヒの方は、もともと感覚自体、感じることが難しくなっていますので、痛みもマヒしてくるとのこと。

そのため、気付かないうちに、切り傷を負っているようなケースもあるそうです。

そんな雨の中、なんとか競技を終了。

最後は表彰式が行われて終了しました。

ここだけの話、今回のまとめです

今回は、趣向を変えて、障害者ゴルフに参加した体験記をお届けしました。

読者のみなさんは、障害者スポーツについて、どのような印象をお持ちですか?

パラリンピックを見ていると、欠損している箇所をカバーするために体全体を鍛えていて、私は、まさにアスリートという印象がありました。

そのため、自分が障害者となっても、障害者スポーツに参加することは、難しいと感じていました。

今回、参加した、障害者ゴルフでは、全員が激しい練習をしているわけではありません。

義足や車いすを使用される方もいますが、補助具を利用しても、走れるわけではありません。

あくまで補助具の範囲内です。

障害をあるがまま受け入れ、ゴルフをプレーしている印象がありました。

自身の能力でできる範囲のことを、地道に行っていく・・・個人個人の目標のために、それぞれ、ひたむきな姿が心打たれました。

他の参加者と交流中、自身の身体の不自由なことをぼやく方はいませんでした。

それよりも日常で周囲の理解が得られにくいことや障害への偏見があることについて認識を同じくしました。

中には周囲の理解が得られないことで、精神的な疾患を経験した方もいました。

今回、多くの障害者の方とお話する機会があり、参加できてよかったと感じています。

「年金で障害者に寄り添い、年金で社会に貢献する」

弊社のビジョンを実現できるよう、今後も、障害をお持ちの方と関われる機会には積極的に参加していきたいと思います。

追伸

恥ずかしながら、私の今回の成績です!

競技結果は以下のページからの引用です。

日本障害者オープンゴルフ選手権 – NPO法人 日本障害者ゴルフ協会
日本障害者オープンゴルフ選手権 – NPO法人 日本障害者ゴルフ協会

この事業はスポーツ振興基金の助成を受けています。

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岡田真樹 みんなのねんきん社労士法人代表

大学卒業後メーカーに勤務。仕事中に左手を機械に巻き込まれ、親指以外を失う大ケガを負う。転職後、障害者雇用の枠で聴覚障害・発達障害・精神障害・身体障害を持つ方々と一緒に働いた経験を持つ。障害年金の手続きを自ら行なったことから年金制度に興味を持ち、社会保険労務士試験に合格。2020年よりみんなのねんきん社会保険労務士法人で実務の最高責任者を担い、2021年に代表就任。

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