ここだけの話、今回はこんな話です
4月となりました。
新しい年度が始まるタイミングなどの環境の変化は、ストレスの原因となることがあります。
そのストレスがうつ病などの精神疾患に進んでしまう前に、なんらかの手を打つ必要があります。
そこで今回は、ストレスに対して私自身がどのような対処を行っているか「みんなのねんきん(みんねん)流 ストレスレジリエンス」についてお話しします。
ここだけの話、こんな症状・こんな事例です
みんなのねんきんでは、障害年金に関するご相談を年間で1000件ほど受けています。
それだけ、相談を受けていると、「あなたはストレス状態にならないの?」との質問を受けることがあります。
障害年金の相談のほとんどが、うつ病などの精神障害。
カウンセリングをするにあたり、発症のきっかけを伺いますが、そんなときは辛い話が多いです。
とすれば、
相談を受ける側のこちらも参ってしまいそうな状況。
障害年金カウンセラーであっても、特別な忍耐力があるわけではありません。
ただ、
自分なりの対処を行っていることは確かです。
これまで、私は長い期間、相談業務をこなしてきましたが、幸いのところ、ストレスを原因とした大きな問題は生じていません。
私のストレス対処法をご紹介します。
ここだけの話、障害年金カウンセラーもストレスに直面している
ストレス状態になると心身に反応がある
障害年金の手続き代行業務で必要なことは、相談者のお話をしっかり伺うことに尽きます。
最初のカウンセリング時だけでなく、実際に手続き代行を受任すると、さらに突っ込んで病状や生活状況を聴き取る必要があります。
これらの情報を申請書類に反映し、障害年金が決定されるような書類として完成させるためです。
たとえば、
提出書類の一つである「病歴・就労状況等申立書」は症状によっては生まれた時から現在までの状況を記載します。
発症前後から障害状態に至った現在までの状況を記載するわけですから、まるで自分が経験したことのように感じるのです。
すると、
相談を受ける私自身も少なからず同じようなストレスを感じることがあります。
私の場合、ストレスの負荷がかかってくると、私の心身は、以下のような反応を示します。
- 睡眠が浅くなる
- 夜中に目覚める
- 肩コリがひどくなる
- イライラすることが増える
- 身体が重い
このような反応が出ていたら、「ストレス状態」です。
まずは、「ストレス状態」であることを自覚することが、大切です。
皆さんも、ストレス状態になると、普段と違う身体の反応があるはず。
その反応について、見ないふりをしないことが大切です。
見ないふりを重ねることで、ストレスが病気につながることを避けなければいけません。
そこで登場するのが、「みんねん流 ストレスレジリエンス」です。
そもそも「ストレスレジリエンス」って?
レジリエンス(resilience)は、「回復力」「弾性(しなやかさ)」「困難を乗り越える力」などを意味します。
ストレスに対して、回復、乗り越える、対処することを私は、「ストレスレジリエンス」と呼んでいます。
みんねん流 ストレスレジリエンスでは、具体的に2つの考え方に則っています。
- マズローの欲求階層説
- SOC(Sense of Coherence センスオブコヒーレンス:「首尾一貫感覚」「ストレス対処力」)
この2つをもとに、ストレスに対する具体的対処を解説します。
ここだけの話、みんねん流ストレス対処法とは
マズローの欲求階層説とは
いきなりご紹介する「マズローの欲求階層説」
それがストレス解消とどう関係するのか?と思いましたか?
まず、
マズローの欲求階層説(欲求ピラミッド、欲求5段階説)は、米国の心理学者A・マズローが発表した説です。
ご存じの方も多いと思うので、ここでは簡単に説明します。
この説は人間の欲求を5つの階層に分けるもの。
階層は、下から生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求(社会的欲求)、承認欲求、自己実現の欲求、自己超越の欲求とされています。
生理的欲求である、食欲、睡眠欲など生きていくための欲求が満たされると、次は、安全が保たれた生活に対しての欲求を求めます。
このように人間の欲求は下層の欲求が満たされるとその上位の欲求を求め、最終的には自己実現、それを超えた欲求を求めるようになるというのがマズローの考え方です。
この考え方が「ストレスレジリエンス」とどう関係するのでしょうか?
ストレスレジリエンスにおけるマズローの欲求階層説は?
さきほど、身体がストレス状態の場合、「ストレス状態であることを自覚することが大切」といいました。
ストレス状態であることは、マズローの欲求階層説では、自分の欲求が満たされていない状態です。
自身の欲求と自身のパフォーマンスとの間にズレがあるわけです。
ズレが生じる原因は、風邪などの病気の場合もありますし、家族の事情の時もあります。
このズレがストレスを生み出していると考えます。
したがって、
そのズレを解消しないといけません。
そのためには、どのようにしたらよいでしょうか?
ここで、
自身のパフォーマンスを自身の理想とする欲求の階層に合わせる・・・という方法もあると思いますが、これでは理想と現実のギャップがかえってストレスになりかねません。
そこで、
逆の発想で、欲求の階層を下の階層に下げるのです。
マズローの欲求階層説の解説などをみると、欲求が満たされると、次の階層の欲求を求めるとあります。
上へ上へとのイメージがありますが、私は、ズレがある時は、欲求の階層を下げるべきと考えます。
私自身は、仕事や家庭における欲求が、上手く満たせない時には、その欲求レベルを一番下の階層まで落とすようにしています。
このように考えるようになったのも、私自身の経験があったからです。
かつて、仕事中、機械に指が挟まる大きな事故に遭いました。
事故直後はしばらくは起き上がることもできませんでした。
食べたいもの、飲みたいもの、トイレもままならい、そんな状態がありました。
それでも、徐々に一つ一つができるようになると、ストレスが消えて次にできることの希望が生まれます。
つまり、できないことをストレスにするのではなく、逆に今できることを明確にして、その範囲内で達成できるように努力するという発想の転換です。
欲求の階層を下げ、そのレベルでのパフォーマンスでできることを増やします。
できることが増えてくると、ストレスを感じなくなっていきます。
このように、
できることを一つ一つ行っていくことを「ベビーステップ」と言います。
小さな一歩でも確実に行えることが、ストレスの対処に繋がります。
ストレスを自覚した時は、できないことに苛立つのではなく、今できることを明確にして、ベビーステップしていくことを心がけてください。
欲求とパフォーマンスとのズレが解消され、ストレスに対処できるようになります。
ここだけの話、今回のまとめです
今回は、私が行っている「みんねん流ストレスレジリエンス」の意味と、マズローの欲求階層説を利用した対処方について、お話しました。
ポイントは以下のとおり。
- ストレス状態から心身に反応が出たら見ないふりをせずにまずは自覚する
- みんねん流 ストレスレジリエンスは2つの考え方に則っている
- マズローの欲求階層説による欲求の階層とパフォーマンスのズレを確認して欲求の階層を下げる
- 今できることを明確にして、ベビーステップしていくことを心がける
マズローの欲求階層説は、モチベーションの講座などよく用いられます。
ピラミッドの図は、上へ上へとイメージしやすいです。
今回のストレス対処について、この考え方が紹介されるケースは少ないかもしれません。
ただ、私自身がこの考え方でストレスに向き合うことができるようになったので無関係ではないと思います。
この対処方法を行うきっかけになったのは、新型コロナのパンデミックの時です。
当時は、ストレス状態となっていることを自覚せず、見ないふりをしていていました。
がむしゃらに取り組みことも悪いことではないと思いますが、ズレが生じていたので成果もありませんでした。
大怪我をして障害が残った時のことを思い出し、ストレスに対処することができました。
次回は「みんねん流ストレスレジリエンス」のもう一つ、SOC(Sense of Coherence)についてお話します。
岡田真樹
みんなのねんきん社労士法人代表